#083: すると、「誰が」どうなる?
7年ほど前、私は会社で昇級試験にチャレンジしていました。
試験内容は、
「論文」と
これまでの業績や今後の希望業務などを記入する「キャリアシート」の
2つを提出し、
それらをもとに面接を受けるというもの。
「論文」は、自分が幹部社員になって何に取り組むかをテーマにして
書くことになっていました。
私は、ここで、
何について書いたらいいのか分からなくなってしまいました。
必要だと思うこと、やるべきこと、
アサインされたことをただただ一生懸命にやっていたのは、間違いないです。
「自分が何をやりたいのか」分からなかったのです。
テーマ案を捻り出すのですが、
上司からは
「教科書的だね」
「面白くないね」
としかフィードバックをいただけないような
ひどいものしか思いつかなくて。
困って、当時の私にとっては高額の(いや、今の私にとっても高額の)、
ビジネスコーチの方に個別相談を申し込んだものの
「whyを語るんです」
「それはhowです」
「それもhowです」
「それもhowですね」
と繰り返されます。
「〇〇に取り組みたいです」と言い換えてみるのですが
・コーチ:「すると、何が起きるのでしょう?」
・私:「xxxですかね」
・コーチ:「すると、何が起きるのでしょう?」
・私:「えーと、△△△?」
・コーチ:「すると、何が起きるのでしょう?」
・私:「う〜ん、□□□かな・・・」
・コーチ:「すると、何が起きるのでしょう?」
(以下、同じ問いを受け続ける)
で、「すみません、ちょっとここで止めてもいいですか?」と
「『すると、何が起きるのでしょう?』アタック」を止めてもらいました。
(同じ問いを聞かれ続けるの、しんどいですよね。
このとき、7回くらいは繰り返された気がします。)
他にもしんどいやりとりがあり、
途中でそのコーチの方のセッションは打ち切りとさせていただきました。
コーチの方とのセッションを打ち切った段階では、
まだ、「自分が何をやりたいのか」分からないままです。
では、当時の私に何て質問して
あげればいいのでしょうか???
おそらく、こう問いかけるのが
いいと思います。
「すると、『誰が』どうなると思いますか?」
そう、私の提案が実現することで
「誰」のビフォー・アフターにつながるのか?
「誰」がどう嬉しいのか?
という、対象を(当時の)私が意識できるようにすれば
いいのだと思います。
はたらく、とは「はた(傍)」を「らく(楽)」にすること。
他者貢献。
その、傍である「誰か」のことを考えるという基本的なことが
試験の課題提出の締め切りを前に
テンパっていた私には、すっぽりと抜け落ちていたのです!!!
問いとしては、
「すると、何が起きるのでしょう?」
と
「すると、『誰が』どうなると思いますか?」
の違い。
大きな違いは、「誰」っていうひとことが入っているか。
「それだけ?」とか
「相手のことを考えるのは、ビジネスとして当たり前じゃん」と
思われたかもしれません。
しかし、このひとことが、大きな違いを生みます。
先ほどのコーチの方は、ある意味正しい問いをしていて、
一般的には
「それは何のため?」とか「すると何が起きますか?」と
問いを重ねることで
目的的なものにだんだんと近づいていきます。
ただ、その時の私には効かない問いだったんですね。
その後、私は浅田すぐる先生の
「トヨタで学んだ『紙1枚!』にまとめる技術」という本に出会い、
浅田先生から直接「紙1枚」仕事術を学び、
今日の文脈で言うと
私に必要な問いをたててもらうことで
アッサリと自分の「論文テーマ」が「紙1枚」にまとまり、
昇級試験に一発合格することができました。
本音のキャリアを生ききる
過去の私のように、自分が「何をやりたいのか」わからなくなっている方もいらっしゃると思います。
目の前の方に、今、どんな問いをお渡しすることで
その人自身が自分の言葉で考えを言語化できるか、
そこがキャリコンやコーチ、ファシリテーターの
真価が問われるところなのだと
私は思います。
今回もお読みいただだき、どうもありがとうございました。
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