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台湾的音楽 魏如萱 (waa wei)「桃太郎」の歌から始まるおばあちゃんへの愛

先日に公開されました、Our Favorite Cityのコラムで、春麵樂隊 ChuNoodle の楽曲「以為」で間奏に、日本の童謡「はとぽっぽ」が、使われていることと、日本と台湾の歴史に関して書いています。

日本の童謡や唱歌については、魏如萱 (waa wei)の楽曲 「奶奶」で、「桃太郎」が使用されていると Twitterで教えて頂きましたので、今日はこの曲に関しての話を書こうと思います。

魏如萱 (waa wei)は、柔らかく透明感のある歌声を持つ、女性シンガーソングライターです。

柔らかい布に触れているような心地よさがあるだけではなく、言葉は分からなくても歌の主人公の気持ちが感じ取れるような、表現力の高さも素晴らしいと思っています。

日本の童謡「桃太郎」が使用されている楽曲「奶奶」は、2021年6月にリリースされた、新アルバム『Have A Nice Day』の1曲目を飾っています。

魏如萱 (waa wei)「奶奶」

イントロに入る「桃太郎」のフレーズと、サビに出てくる "月みたい"、"太陽みたい"などの日本語。台湾と日本の関係を考えると、彼女の奶奶(おばあちゃん)は、日本語教育を受けた世代ということが分かります。

Taiwan Beatsの記事によると、魏如萱 (waa wei)のおばあちゃんは91歳で、「桃太郎」の歌を良く口ずさんでいるそうです。

話は少しそれますが、私が初めて台湾に旅行に行った2006年頃、街中でおばあさんやおじいさんが、流暢な日本語で話かけてくれました。
日本統治時代の思い出話をしてくれるのですが、"いただきます" や "ただいま"という言葉は、孫にも教えている、と話してくれたことを覚えています。

童謡や唱歌、それから日本の風習の一部が今も残っているのは、その世代の方々が歌ったり、話をしてくれたりしたからだと思います。

台湾は、1895年から1945年の50年間にわたり日本でした。
1945年から70年以上が経った今も、日本のものが形として残っていることに、台湾の人たちの日本へ対する優しい想いを感じています。

さて、「奶奶」には "お母さんみたいね" という言葉も出てきますが、これは、彼女自身が、祖父母に育てられたので、おばあちゃんを、お母さんのように慕っているそうです。
MVのおばあちゃんは、台湾の女優 陳淑芳(チェンシュウファーン)。
どこかで見たことあるなぁと思ったら、ビビアン・スーがプロデュースと出演をした映画『孤味』(邦題:弱くて強い女たち)のお母さんでした。

おばあちゃんのことを想う優しい歌で、自分の祖母のことを思い出してしまい、とても切ない気持ちになります。この楽曲は編曲に、Freckles(雀斑)でも活躍する、林以樂が入っています。魏如萱 (waa wei)と林以樂は、別の作品「 海鷗先生我愛你 Mr. Seagull, I Love You」でもタッグを組んでいます。

なお、「奶奶」のラストに登場する歌詞とメロディ

十八的姑娘一朵花 一朵花

これは「姑娘十八一朵花」という、台湾でも昔から愛されている曲の一節です。きっと、おばあちゃんも良く口ずさんでいるのでしょうね。
「姑娘十八一朵花」の作曲は、鄧雨賢。彼は1930年代から活躍する作曲家で、東京音楽学校(いまの東京藝術大学)で学んでいます。有名曲「雨夜花」も手掛けています。この曲は、多くの歌手に歌い継がれ、一青窈さんもアルバムで歌ってます。
余談ですが、映画「返校」でもこの曲が流れるシーンがあります。

魏如萱 (waa wei)の「奶奶」について考えると、日本と台湾の約100年の歴史について考えてしまいます。歌や音楽には、人の営みや当時の世の中の流れが反映されているものだと思っています。

台湾と日本の1895年からの関係の全てが素晴らしいことは無い、と個人的には思います。しかし、さまざまなことがあった上でも、日本と台湾は友好的な関係であるのは、とても有難いし、嬉しいです。もっと仲良くなりたいとか、もっと知りたいと思った時に、やはり日本統治時代のことは、日本人は知っておかないといけないと感じています。

さて、アルバム『Have A Nice Day』には、「奶奶」の他にも素晴らしい楽曲が揃っています。少しラテンの要素がある楽曲や、R&Bテイスト、歌い上げるのではなく心の琴線に優しく触れるようなバラードなど、どの曲も魏如萱 (waa wei)の魅力が詰まっています。

「HAVE A NICE DAY」

アルバムタイトルと同じ「HAVE A NICE DAY」は、打ち込みも軽やかで聴いていて楽しい。ちょっとレトロな感じも可愛いです。

「奶奶」も、もちろんですが、ぜひアルバム全体も聴いてみてください。


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