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台湾的音楽 生祥樂隊 日台メンバーが創るロックとラテンと田園風景を感じるサウンド

台湾のアーティストを紹介するシリーズ。
生祥樂隊

聴いた瞬間に、土の香りと、台湾の田園地帯や田舎の風景が浮かびました。
映画で見た風景だったり、桃園空港に向かう電車の車窓から眺めた景色だったり。同じアジア人だからか、少し懐かしいというか原風景を思い浮かべるような音楽です。

ご存じの方も多いのですが、生祥樂隊のドラムは福島紀明さん、ベースは早川徹さん、ギターは大竹研さんの日本人3名が入っています。彼ら3名と共に、ボーカルで月琴の林生祥さん、パーカッションと二胡に呉政君さん、嗩吶(スオナ ※平たく言ってしまうとチャルメラと呼ばれる管楽器)に黃博裕さん、そして詩人の鍾永豐さんで構成されています。
日本人3名は、台湾で人気の高いインストバンド、東京中央線として活躍をされているお三方です。

「豆腐牯 The Tofu Guy」
豆腐をモチーフにしている曲です。
日本と共通点と相違点を豆腐制作過程で見ることができて、面白なと思っています。

彼らの音楽は、ロックやラテンの雰囲気もありながらも、アジアの湿気や雰囲気が感じられます。
聴いていると、フジロックのField of Heavenか、Avaronのステージが似合うなぁと思っていたら、2011年に前身バンドの生祥與樂團として出演していました。

フジロックで、ちょっと雨が降る中でビール片手に踊りながら聴いていたいなと、妄想をしていたのですが…笑
余談ですが、土砂降りまでいかない雨で楽しむフジロックが最高だと、私は思っています。

生祥樂隊は、前身のバンドを含めてこれまでに7枚のアルバムをリリースしています。
これまで、金曲奨やインディーズ楽曲のアワードの金音奨、そして映画のアワード金馬奨と数多くの奨を受賞しています。
今週末 8月21日に行われる、第32回 金曲奨(Golden Melody Award)では、 アルバム『野蓮出庄』で、最佳樂團獎 (バンド賞)にノミネートされています。

最佳樂團獎 (バンド賞)には、日本にもファンが多い、告五人(Accusefive)落日飛車(Sunset Rollercoaster)、以前にnoteでも紹介したdeca joinsなどもノミネートされています。

ちなみに、このアルバムのデザイナーも、最佳装幀設計奨(おそらくジャケットデザイン)にノミネートされています。
赤地に目が覚めるような黄緑で刷られた生き物が配置され、その周りを毛筆で "野蓮出庄" と勢いよく書かれているジャケットデザインは、鮮烈な印象を残します。(ぜひ、アルバム名で画像検索してみてください)

生祥樂隊は、台湾の伝統的な音楽に基づきながら、現代音楽と融合をさせて音楽を作っています。
月琴や嗩吶(スオナ)、二胡の音が、日本人からすると少し異国の感じがありながらも、はるか遠い国の音色よりも、親近感があるような不思議な感覚にさせてくれるのかもしれません。

「野蓮出庄」
2019年リリースのアルバム『野蓮出庄』から表題曲「野蓮出庄」
ロックとラテンが融合が、とても心地良く、カッコいい。

「Water Snowflake Goes to Market」という英語のタイトルがついていますが、Water Snowflake つまり野蓮は、シャキシャキとした歯ごたえで、炒め物にしたら美味しい野菜のようです。
出荷までの作業をする人たちの姿が出ていて、台湾の屋台やお店で食べている野菜はこのようにやって来ているのか、ということを教えらます。
トラックの犬が可愛いな、なんて呑気に見ていましたが、YouTubeに出ていた歌詞(客家語のようです)を翻訳して読んでみたら、ベトナムの方が従事しているようです。
きっと、日本の技能実習生と同じようなことが起こっているのかな、と思いながら再びMVを見ると、水に浸かりながらの重労働なことを改めて感じました。

農業や環境問題にも、注意を払いながら活動をしているということが、MVを観ていても分かります。
持続可能という言葉を、いまの流行りの言葉としてではなく、もっと本質的に捉えられていて、それが音楽と言う形になり、私たちに大切なものや考えなくてはいけないことを問いかけているように思います。

「打烏子」 Bird Berries

ちょっと昭和のムード歌謡的なラテン要素がクセになります。
でも歌詞を見てみると、少し労働歌のようにも感じて、それがラテンのメロディと相まって、明るいけれど、どこか物悲しい感じもして。ドキュメントというか、人間臭さを感じるMVだと思いますし、きっと台湾にもっと詳しい方が見たら、より詳しくこの楽曲とMVの意図が分かるのかと。

台湾のことを調べて日が浅い私でも感じるところがあるので、より詳しい方や暮らしている方にとっては、このバンドのメッセージ性はとても強いのではないかと思っています。

さて、第32回 金曲奨(Golden Melody Award)は、8月21日に開催。
日本にいながらも、表彰式の様子などを見ることができるようです。

金曲奨は、本来は、6月下旬に開催されていますが、感染拡大の影響により延期となりました。今回は、オンラインとリアルでやるそうで、どんな感じになるのかは、見てのお楽しみですね。

生祥樂隊の作品はSpotifyで聴くことができます。
こちらもぜひチェックしてみてください。


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