台湾的音楽 魯千千(CHIEN CHIEN LU)ミッドナイトブルーの美しさを感じるジャズ・ヴィブラフォン奏者
台湾のアーティストを紹介するシリーズ。
2021年11月6日に開催された金音奨の各部門を受賞したアーティストについても、少しずつ紹介していければなと思っています。
魯千千(CHIEN CHIEN LU)
2021年の金音奨で、ベストジャズソング賞を受賞したアーティストです。
ヴィブラフォン。いわゆる鉄琴の一種である楽器の奏者であり、コンテンポラリーパーカッショニストでもあり、作曲家としても活躍する女性アーティストです。
チック・コリアとか、ゲイリー・バートンが演奏するECMの美しく静かだけれども情熱的な雰囲気と共に、彼女の中にあるエネルギーも感じられて、素敵だなと思っています。
彼女の音楽から感じる雰囲気は、色で言うとミッドナイトブルー。どこまでも美しく深く、静かに情熱が燃えているような印象を持ちました。
「行 The Path」
2021年 金音奨 ベストジャズソング賞を受賞した楽曲
公式サイトによると、魯千千(CHIEN CHIEN LU)は、台湾でクラシック音楽の教育を受けながら、R&B音楽への情熱も持ち育ち、その両方が結実した結果、彼女ならではのコンテンポラリージャズを演奏するようになったそうです。
確かに、今回ジャズアルバム賞にもノミネートされたアルバム『行 The Path』も、クラブジャズのようなグルーヴ感の強いものから、ブルース要素のある作品、そして台湾や中国、そして日本でも親しまれている「雨夜花」をアレンジした楽曲など、本当にオリジナリティに富んだ作品を収録しています。
ちなみに「雨夜花」は、「Blossom in a Stormy Night」というタイトル。Stormyというだけあり、オリジナルよりも躍動感があります。
「Blossom in a Stormy Night」
こちらは、1分くらいの動画。フルで聴いてみたい方は、こちらからどうぞ。
アルバム『行 The Path』を聴いていると、ヴィブラフォンの音色が現代的なジャズに映えるのは勿論ですが、「雨夜花」といった台湾やアジアの風景が浮かぶような楽曲もあり、とても興味深いです。
アルバムの感想を一言で表すなら、カッコいい!という言葉になりますが、曲ごとに変化する音色や雰囲気。そして息遣いも感じられるのが魅力だなと思います。
魯千千(CHIEN CHIEN LU)の活動拠点は、NY。ライブを行うのと共に、コラボでの楽曲もリリースしています。
2021年12月にリリースした作品は、ジャズ、ファンクのベーシスト、Richie Goodsとのコラボレーションです。
雨がしとしとと優しく降る夜のようなイメージだなと思ったら、曲名も「Rain」です。ヴィブラフォンの音色が、雨粒のように感じるのと共に、静かにリズムを刻むベースやドラムが心地よいです。
「Rain」
ちなみに、Richie Goodsとは、昨年にもコラボをしています。
「We Three kings」
この楽曲、少し甘く気だるい感じもして、それがまたカッコいいなと思い聴いています。
ピアノ、オルガン、ベース、ドラム、そしてそこにヴィブラフォンも入るのですが、それぞれの持ち味や見せ場がたっぷり感じられるのも素敵。NYでライブを観てみたい。美味しいお酒を飲みながら観る夜は、最高ですね…。
彼女のHPによると、ここ数年はレコーディングとJeremy Pelt Quintetとのワールドツアーをしていたようです。(2020年のツアーは実現は難しかったかなと思いますが)また、先ほど紹介した、ジャズ、ファンクのベーシスト、Richie Goodsとのプロジェクトでの作品のリリースもするようです。
そして、来年2022年にはソロでのアルバムをリリースするとのこと。
来年、自由に渡航が出来るようなったら、日本でもツアーをしてくれるかもしれません。国内で楽しむのはもちろんですが、NYや台湾で、ライブを楽しむのも良さそうですね。
2022年こそは、心置きなく音楽を楽しめるような環境が出来ることを願って止みません。年末も差し迫ると、尚のことそう感じてしまします。
魯千千(CHIEN CHIEN LU)のアルバム『行 The Path』は、Spotifyでも聴くことができます。
ぜひチェックしてみてください。