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雪割納豆のあれこれ⑥ごと納豆って

ホーロクで豆を煎り、2つに割って皮を飛ばし煮込んだ豆をワラットに詰め、温め発酵させ、仕上がった引割納豆に米糀と塩を適量混ぜ合わせ、程よく発酵が進み旨味が増してくる。これがごと納豆だ。秋に大豆の収穫を終え、各家単位で納豆を造り、納豆として食べることはもちろん、拵えた納豆に米糀と塩を加え漬け込む、まさに生活の知恵、そして食べ物を大切することである。冷蔵庫もない時代に塩の特性を活かした雪国の保存食文化である。山形置賜地域では昔からひきわり納豆に塩と米糀を加えて追加発酵させた納豆がつくられてきた。出来上がりは塩による塩味と米糀の甘味そして発酵よる旨味で味が出来上がるため、醤油を加えずにそのまま食べる。塩分濃度が約9%ほどあるため保存性が高く、味噌などと同様である。
ごと納豆といつから呼ばれるようになったかはわからないが、その名の由来としては、大豆1石でつくったひきわり納豆に塩五斗と麹五斗を混ぜたからごと納豆という説や、五斗の樽で仕込んで熟成させたから五斗納豆という説がある。1石や5斗というと日常で使わない単位なので補足するが、石(こく)斗(と)は江戸時代に米の量を表す単位だ。1石は10斗、1斗は10升、1升は10合、1石約180リットルでるから5斗は約90リットルである。5斗の樽で仕込んだにせよ、大豆1石と塩5斗と麹5斗で仕込んだにせよ、かなり大量に造った事が伺える。私の親世代が子供のころ(昭和40年代)の農家さんでは味噌や納豆は各々でつくっていたとか、町場の方では、麹屋さんにお願いして各家分をつくってもらったとかよく聞いたものだ。今日のように小売店で買ってくるものではなかったという事である。
ごと納豆の話だけでもいつの時代から造られてきたのだろう?そもそも五斗納豆のもととなるものは?とか、またまた疑問がいっぱいでてくる。当分、話題につきることはなさそうである。本日はここまで。読んで頂きありがとうございます。次回につづく。ゆきんこHP

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