ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 ケリュネイアの鹿と排卵開始
アカイア地方のケリュネイアの鹿(牝鹿)は女神アルテミスの聖獣で黄金の角と青銅のひづめを持っていた。
4頭の兄弟がおり、アルテミスに生け捕られ、彼女の戦車を引いていたが、この5頭目の鹿は狩猟の女神をもってしても捕らえる事ができないほどの脚の速さを誇った。
女神から傷つけることを禁じられたため、ヘーラクレースは1年間追い回した末に鹿を生け捕りにした。
その後この鹿はアルテミスに捧げられ、他の4頭とともに戦車を牽くこととなった。
アルテミスは月の女神であり、この話は初潮から排卵に関する話。
戦車ー戦いは、月経という生体内ストレスを象徴している。
牝鹿が黄金の角と青銅の蹄を持つのは、頑丈な角質、健康な爪を意味し、この作用をもつ物質を象徴する。
ケラチン
ケラチンは上皮細胞の中間径フィラメントを構成するタンパク質。
毛、爪等のほか、角、鱗、嘴などといった角質組織において、上皮細胞は硬質ケラチンと呼ばれる特殊なケラチンから成る中間径繊維で満たされて死に、硬化する。
硬質ケラチンは水をはじめとして多くの中性溶媒に不溶で、タンパク質分解酵素の作用も受けにくい性質を持っている。これは、ケラチンの特徴であるシスチン含有量の高いアミノ酸組成に起因する。
粘膜などの角質化しない上皮細胞においてもケラチンは中間径繊維の構成タンパク質として重要な役割を果たしており、上皮組織のシート状構造はケラチン繊維によって機械的強度を保っている。
エストロゲンは、細胞内でエストロゲン受容体ESRIに結合して作用する。エストロゲンはまず間質細胞のESR1を介して作用して上皮の細胞増殖を間接的に活性化し、その後、上皮細胞自身のESR1を介してケラチン化を誘導する
女性の生殖器官では、体内のエストロゲン濃度によって細胞増殖が厳密に制御されている
エストロゲンが作用すると、基底細胞の増殖が刺激されて、角化細胞に分化しながら上層に移動してケラチン化され、子宮内膜は最後にはがれ落ちる。
月経のメカニズム。
女性ホルモンのバランスが整う、つまり5頭そろう時に排卵が開始される。月経周期を司るアルテミスが、女性ホルモンを操る。
初潮から一年位後から排卵が起こるといわれる。
排卵はエストロゲンにより卵胞が成長する事でおこる。
このエストロゲンの働きに、DNAの発現が関与している事をこの物語は伝えている。
初潮は、体重と身長が一定に達した時起こる。骨の成長を終了させるのはエストロゲンの作用。
排卵可能な十分な成長に達した合図を担うのが、上皮細胞のエストロゲン受容体であり、生殖器内の上皮細胞や骨細胞のDNAがこの情報から活動を切り替え始めるのではないだろうか。
ケラチンと排卵、一見なんの関連もないように思える事象が、実は生体内の重要な鍵を握る。
ヘラクレスつまりDNAは、様々な物質の情報をキャッチし、その発現の時をコントロールしている。