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ユーフォリア



 最近聴いている国産バンドtiny yawnの新作EP「euphoria」が素晴らしいと私の中で話題になってるのでご紹介。


 存在を知ったのはつい1年程前か。「令和型ポストロック」と称されており、前作paddle shipをリリースしたあたりで花筏という曲に心惹かれてから結構な頻度で聴いている。


 リズミカルに流れるようなギターが気持ちよく、American Footballなどのエモ、toeなどのポストロックや更にはネオソウル的な香りもする。移り変わる季節を俯瞰するように、少しアンニュイな雰囲気があるのも聴き続けているポイント。


 この手のサウンドはおしゃれだなぁと感じる一方で、あまり深くのめり込めるバンドがいなかったのでtiny yawnの技巧派でありながら美しいメロディラインで掴みやすい音像は聴いていてとても心地良いのだ。



 普段は激しめの音楽を聴くことが多いためか、ふとtiny yawnを聴くと「あ、今ちょうどいいな」と感じることが多い。確実にこのバンドからしか得られない要素や満足感がある。

 今作euphoriaは4曲のみだが、それぞれ表情が絶妙に異なる粒揃いな作品なので簡単にレビューしたい。


1、YOUTH

 このリードトラックが素晴らしい。淡く儚い疾走感に乗せたストレートにロック寄りなアプローチをした曲。等身大な若さ故の不安や孤独、行き場所のないやるせなさとほんの少しの希望が入り混じり、心に染み込んでくる。アウトロの転調でtiny yawnらしさが光る。




2、クリア

 落ち着いた雰囲気のジャズ、ソウルのエッセンスを感じる洗練された音作り。そして透明感の中に揺らぐ繊細さが垣間見えるボーカルMegumiの声が気持ち良く、この曲をお供に都会の夜を歩きたい。



3、too late

 今作では一番暗めの曲。この憂いの帯び方は初期きのこ帝国を思い出させる。アップダウンの少ないこのくらいの温度感がベスト。シューゲイズほどのノイジーさはないがギターの主張も程よく絡まって気持ちいい。




4、tired

 切なさ込み上げるギターの重なりがたまらない。今作はYOUTH以外、落ち着いたミディアムな曲なので、その雰囲気のまま包み込むようにこの曲で終わりを迎える。ほんのり温もりを残しながらアウトロに入り込んでゆくのもセンスを感じさせる。




 この先tiny yawnがどういう方向に舵を切るのか楽しみではあるけれど、ポップに振ってもアンビエントに振っても、テクい方へ振ってもきっとセンス溢れる曲を作ってくれることは間違いないので楽しみにしたい。

 寒い日が続くけれど、微かに、僅かに、春を意識する日常になりつつある今日この頃。このEPを聴いて、4月から始まる新たな環境へ気持ちを作っていこうと思う。


 以上、めちゃくちゃ良いバンドなので気になった方は是非聴いてみてください。

 それでは。
 おやすみなさい。



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