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復讐日和



 今週は左肩を怪我してしまい、通院のため丸一日休みを貰った。数日経過したが中々痛みは引かず、腕も上がらず、日常生活にもやや支障が出ていて、車の運転なんかが結構ツラい。
 平日休んで街に出たりすると、皆働いてんなぁーとかぼんやり考える。悪いことしてる訳でもないのに、何故か急に息苦しくなってしまうので、休みの時は家から出ないor違う街へ出るかした方が精神衛生上良いという結論。

 さて、そんな療養を兼ねた休日にとある読み切り作品を読み、焼き付いて離れなくなってしまったので今回はその作品を簡単に紹介したい。



「ロクの冥約」外薗 健

 あらすじを簡単に言うと亡き友の仇打ち。復讐がメインのお話。

 ヤクザに仕えるロクとマチは幼い頃からの親友。しかし、2人はボスである親父の「全員殺せ」という命令に背き、堅気の人や子供など罪のない人間を逃がしていた。そのことが親父にバレてしまい、マチは殺される。
 マチの遺体の横でロクが物思いに耽りながらタバコを吸っていると、ルシルという子供が書いた猫みたいなのが現れ、その復讐の手伝いをするという話(ザックリ)。



↓こちらはボイコミの前編


↓ボイコミ後編



 ジャンプ系統にしてはかなり殺伐とした内容で治安はよろしくないが不思議と心に残って消えない作品だった。読み切りなのでそんなに濃い内容ではないのだけれど、ロクの親友だったマチへの餞が復讐であり、己の手が一生血で染まり続けるとしても成し遂げようとする強い想いに胸打たれた。
 またルシルがコミカルなキャラクターで、クスッとくるロクとの掛け合いもあるためか、暗くなりがちな復讐劇に少しの明るみをもたらしているのもバランスが良い。


 あとは絵。とにかく絵。アクションシーンの構図のカッコ良さと迫力が異常。NARUTOで育った私はこういったダークで緻密な部分まで拘られた画風が死ぬ程大好きだ。随所に岸本斉史イズムを感じずにはいられない。

血飛沫描写の美しさが外薗斬りの魅力


 そしてこれはオタク特有の習性のようだが、特定のキャラクターにイメージソングを勝手に当てはめ、「これはアイツの曲だ。もうそれにしか聴こえん。」みたいな所感を抱く行為を今回もやってしまった。


 THE BACK HORNのタイムラプス。MVからも故人を偲ぶ曲だと受け取っているが、この曲がどうしてもロクからマチへの曲にしか聴こえなくて困った。復讐の道を選んだロクにとってこの先に希望なんて無いのだとしても。

世界は不条理で残酷で
光すら奪ってく
だけど迷いはしない
希望が心を照らしてゆく
俺が望んで歩き続ける限り
いつかお前と笑い合うその日まで

タイムラプス/THE BACK HORN


 ちょっと話逸れるけど、マツ作詞の曲って名曲多いんだよね。枝、夢の花、夏の残像、サナギ、コオロギのバイオリン、奇跡とか。この曲も光と影の対比を等身大で表現した素敵な曲だと思う。
 私の脳内では最後にロクがルシルと一緒にマチの墓参りをするシーンでこの曲が爆音で流れ出すエンディングとして仕上がっている(妄想自己解釈MAD)。



 おわりに。この読み切りを書いた外薗先生の最新作「カグラバチ」が現在ジャンプで絶賛連載中。こちらもまた復讐譚。次に来るマンガ大賞は勿論1位。
 毎週毎週、中弛みのないスリリングな展開とダークかつブルータルな作画で心踊らせてくれる。



 刹那のカッコ良さがこれでもかというぐらい詰め込まれた作品なので是非1話だけでも読んでいただきたい。間違いなく次世代の看板漫画になるので。

 因みに私は今週号の怒涛の急展開により情緒不安定のまま一週間を過ごしております。


 これだから週間連載って最高なんだ。

 今日はこの辺で。おやすみなさい。



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