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REMINDER
11月も終わろうとしている。今週は仕事で東京方面へ2泊3日の出張があり、スケジュール的にも余裕のある行程なので「お昼何食べよう、自由時間は何処に行こう、ホテルでゆっくりしたい。」など余暇の事しか考えていなかった。
今回の宿は大塚駅周辺。田舎者からしたら何でも揃ってるし、美味しい店も沢山あり、古き良き商店街や路面電車なんかも通る風情ある街並みだったので、また機会あれば利用したいと思った。
特に「千成もなか」のあんバターどら焼き、これがあまりに美味しくて感動。和菓子が好きでよく買うけれど、ここのどら焼きは食べてきた中で歴代一位かもしれない。お立ち寄りの際は是非に。
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そして、今回の出張は同行した上司からの提案で業務終了後の夜はそれぞれフリーにしようということになり、これ以上にありがたいことはない。私はお酒もあまり好きでは無いし、一人の時間がマストな人間なので今回の出張はホントに楽しみでしかなかった。
東京の夜を楽しむ為の最高の手段として私は一件ライブ予定をブチ込んだ。
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ストレイテナーのZepp新宿公演である。もはや仕事そっちのけでコレのために東京来たと言ってもいい。東京なら何処かしらでバンドのライブはやってるだろうと思ってたが、まさか出張のタイミングでストレイテナーのライブがあるとは思わんよ。急遽チケット探し回って運良く見つかり、最前線の地でテナーを拝めることに感謝した。
今回は10月にリリースされた新譜「The Ordinary Road」のツアー。この新しいアルバムがまた素晴らしい作品で、聴けば聴くほど味が出るアルバム。多彩な楽曲と進化を止めなかったバンドとしての強さを感じる洗練された音作り。数年ぶりに彼らのライブが見れることを楽しみに治安のよろしくない新宿歌舞伎町へ向かった。
新宿来たついでにゴールデン街の「すごい煮干しラーメン凪」を頂く。異国の言葉しか聞こえない程に外国人で溢れていたけれど、憧れ続けた本店の味は異常なまでのエグみが効いていてやっぱり美味しかった。
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そして遂に初のZepp新宿入場。ストレイテナーは現在ツアー中ということもあるのでセトリは控えるが、新旧織り交ぜた集大成のような最高のライブだった。さすがは百戦錬磨のライブバンド、ロックバンドのライブのカッコ良さを200%引き出すパフォーマンス。楽曲の引き出しの多さもあってアッパーな盛り上げゾーンも聴かせるチルゾーンもずっと引き込まれっ放し。最高の空間を提供してもらった。
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このバンドも10代の頃から聴いてきたから、音楽的な変化をリアルタイムで感じてきた。ホリエアツシという人が作る音楽はいつも前衛的で、初期こそバンドサウンドメインだったが、近年はエレクトロやシンセといったピアノ以外の新たな要素をセンス良くストレイテナーの音楽に落とし込んでいる。
J-POP的な軽快さとカラフルさもあった近年の曲に、正直もっと捻くれたオルタナ寄りの曲も出してくれ〜なんて思ってた時期もあったけど、The Ordinary Roadを聴くうちに、いや今のテナー、すげー良い、これまでの全てを踏襲して現在進行形でカッコいい言える最高のアルバムだと感じ始めた。
ライブで新曲たちを聴いて、過去の曲と並んでも遜色なく自然な流れが出来ているのは結局、どんな変化球を入れようとも「ストレイテナー」であることが根幹にあるからなのだろう。新譜からだとリヒトミューレ、Exelion、Uncertain、工場夜景などがライブ化けしており、音源とはまた違った聴こえ方をしてくるといった醍醐味を感じられた。
特にもExelionは全英詞のエモ系ナンバーで未だこういう青臭さすら感じる曲を繰り出せるところにテナーらしさがある。
シンペイさんの全身で叩きつける激しいドラムも、ひなっちの変幻自在でゴリッゴリなベースも、OJの酔いしれるようなリードギターも、ホリエさんの伸びやかで包み込むボーカルも、その全部が「学生の頃に見つけたカッコいいバンド」そのまんまだった。終盤、私がテナーを好きになったきっかけである某曲のイントロが鳴った時、込み上げて泣きそうになったな。
改めて信頼のおける数少ないバンドの一つで、帰れる場所、居てもいい場所のような安堵感がそこにあった。
そんなこんなで今回の東京出張は移動中もテナーを聴いてたため、彼らの音楽と共にある旅となった。怪我をして全部面倒になって、色んなことが投げやりになっていた11月だが、ストレイテナーのおかげで崩れかけの精神を持ち直せた気がする。好きなものは好き、楽しめるものは楽しむ、というスタンスを忘れずにいたい。
今回は11月の名曲と共に終わります。
おやすみなさい。