帝都救済
年末年始の連休がスタートし、仕事納めの解放感から即東京遠征。帰省客とすれ違いながら新幹線に乗り込み清々しい気持ちで首都圏を目指す。
今回の目的もライブ(もう毎度それしかないんです)。渋谷サイクロンで行われるkokeshiのワンマンライブ「帝都救済-Monochrome Requiem-」に行くため、決して降りたくはない駅No.1渋谷駅に降り立つ。
因みにkokeshiはブラックメタル/ハードコアにジャパニーズホラーのエッセンスを加えた音楽性で、一つのジャンルでは形容しがたい強烈な個性を放つバンド。去年の4月頃に音源を購入してずっと聴き込んできたため、ようやくライブを見れることが嬉しくて仕方ない。若干怖いもの見たさもありつつ、一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、その期待と緊張は高まるばかり。
昼公演という珍しさに加え、チケットはソールドアウトしており、キャパギリギリまで人が入る模様。
当方、サイクロンは初めて行くハコであり、検索の仕方が悪かったのか、同じく渋谷に存在する「株式会社サイクロンクリエイティブ」という謎の会社を目指して歩いていることに途中で気が付き、大幅なロスを食ってしまった。
小走りでどうにか間に合い、ライブハウスの中に入ると薄暗い照明の中、不穏でアンビエントな音楽が永遠と流れており、妙な緊張感が漂っている。そして少し不快に感じるほど粘つくような暑さもあった。
そんな中、いよいよ開演。
真っ赤な照明の中、今年リリースされた曲「暗い廊下」の冒頭である詩の朗読が流れ出す。もうこの時点ですげー怖い。メンバーが入場するも一切拍手は起こらず、観客全員が固唾を呑んで見守る。そして朗読が終わり、ディストーション全開のヘヴィな楽器陣の音が鳴り響く。暗い廊下の曲部分が始まった。この曲は朗読含めると10分越えの長尺で、おそらく今回のワンマンライブでなければ演奏される機会も殆どないような位置付けなのかもしれない。
しかし、非常にドゥームなサウンドとドロドロとした怨念のような語りパート、悲鳴にも似た絶叫、鬱鬱としたアルペジオなどkokeshi特有の強みが余すことなく散りばめられた超大作なのだ。ラストの美しいクリーンパートでほんのり光が差し込む展開も素晴らしい。これが生で拝めただけでも来て良かったと思えた。
ライブでのVo.亡無の存在感は凄まじい。グロウル、ガテラル、ホイッスルなどの技術は勿論だが、それ以上に人ではない何かが憑依したような強烈なパフォーマンスには目を引くものがあった。ダイブやモッシュなんて起きずとも生きて帰れないような別空間に引き摺り込む世界を目の前で繰り広げられるので、もはや身動き一つ取れない感覚だ。NARUTOで言うとイタチの無限月読を食らう初期のカカシ先生状態。
胎海、海馬に沈む、涅槃欠損少女読経、彼は誰の慈雨の中で、など私の好きな曲や新曲も沢山聴けて改めて素晴らしいライブを見させてもらった。
モッシュしたりシンガロングしたり手拍子したり、そういった楽しみ方もライブの醍醐味だと思うが、そんな煽りもMCも全くせず自分達のパフォーマンスと世界観だけで勝負してくるkokeshiのライブには心掴まれた。ライブ見る限り、メンバーはとても話しかけられないような雰囲気を漂わせているが、ライブ終了後にはファンとのチェキ会なんかも開いており、そのギャップも面白くて微笑ましかった。
今回行ったワンマンライブでは本当にお客さん誰一人、曲の合間に拍手もしないし、激しくて身体の疼く曲も多数あるのにモッシュもダイブも一切していなかった。メンバー本人達はフロアで何やってもウェルカムなスタンスなようだが。
正直「楽しかった」で終わるより、あんまりにも没入し過ぎて「何だあれヤバい」で終わるライブの方が圧倒的に好き。kokeshiの呪われそうな緊張感ある恐ろしいステージングはもうkokeshiでしか味わえない唯一無二の体験なので、来年以降も機会があれば必ずライブに足を運びたい。
そんなこんなで2024年も終わりのようです。アウトプットの為に始めたnoteだけど、この半年間はコンスタントに記事を更新できてる気がしてます。読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。来年もライブや音源を楽しみながら好きな音楽について語っていければと思います。
それでは皆様、おやすみなさい。
そして、良いお年を。