更新うどんのこと
25年も通っていた北九州市は富野の更新(さらしん)うどんの大将が亡くなってしまった。ここ数年闘病中で数か月単位の入院を繰り返しながらお店を開けてくださっていたけれども、とうとう。
後継ぎはいなくて、お店もこのまま閉店になります。
いつも大盛りでお願いしていたもんだから、たまに並を頼むと身体の調子が悪いのかと心配されたりして、とうとう最後まで大盛りでお願いしてました。ある程度食べたところでおだしを足してくれるのも嬉しかったし、「きみはやわいめんは好きかね?」あるいは「おなかはいっぱいになった?」との問いかけにうっかり返答してしまうと容赦なくうどんが足されるのもすごかった。僕のからだの何分の一かは更新うどんでできているに違いない。
八百屋にルーツを持つという大将は、全国各地から旬の野菜を仕入れていて、わかめもどこから仕入れていたのかよく覚えていないけども、ここのは美味しかった。感謝を込めて、改めてメニューを紹介。
ささがきではなく、一本そのまま、あるいは縦に半分に切ったごぼ天が特徴。大盛りは5本入り。写真のはレンコン天を追加でトッピング。
たっぷりのかも南にしょうがをトッピング。しょうがは健康によいからと、冬場はこういうのを頼みがちでした。
まろやかなお味のカレーうどん。最後の1年は結局たべてないのが悔やまれます。たまごが味変で、またごはんも入れたりして。
こしらえるのに体力が要るとのことで、晩年は量を減らしたり、裏メニュー化してたりしてた冷や麦。夏は最高に美味しくて、こればかり食べてる時期も。
大量のうどんを、これまた大量の大根おろしの入ったおだしでいただきます。大根おろしは辛いのとそうでないのが選べますが、いつも辛いのをお願いしていました。一番リピートしたメニュー。
冷たいうどんを頼んだときは、せっかくだからあったかいおだしも飲んでいけと、並のうつわにおだしとわかめと天かすをトッピングしたのをいただいてました。たまにうどんまで入ってることがあって、もうこれ普通にちっちゃいうどんおまけしてくれてるやんってことも。
ゆずを練りこんだおそば。麺は短く切れがちでしたが、風味がよくて年末は必ず頼んでいました。大みそかの前日は年越しそばのみの販売で、普通のおそばとゆずそばが選べました。レジ横の手書きの予約表が連なっていくのも年末を感じさせる光景。
○画像はないけども、春のたけのこ天うどん
たけのこの名産地、合馬と山をひとつ隔てて、たけのこが取れる山を持たれていたそうで、まだ体力のあったころは春先にメニューに並びました。今まで食べてたたけのこと明らかに次元の違うおいしさで、ショックを受けました。春限定でしたが、メニューにある時期はこれしか食べてなかった記憶。
2022年1月。これが結局、最後の一杯になってしまいました。とにかくボリューミーでどこから食べてよいのかいつも悩みます。おだしの量を犠牲にして麺を詰め込んでるので、追加のおだしをいれてもらうまでは、食べるのになかなか苦労します。でも、おいしい。
大将が元気だったころは、「いらっしゃいませ! いまか、いまかと待っておりました!」との出迎えで思わず苦笑したものです。予約もしてないのに、そんなわけあらへんやろ、って。もうあの声がきけないのがただただ寂しいです。ほんまながいあいだ、ありがとうございました。ゆっくりしてね。