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暴君さくら

すっかり家に馴染んださくらは、傍若無人っぷりを発露する。そりゃもう、走る、爪を研ぐ、飛びつく、噛む。

とくに最後のが問題だった。本人(本猫)は甘噛みのつもりなのだろうが、けっこう痛い。ちっちゃな牙が突き刺さるのだ。だがしかし、ここで「コラっ!」と怒ってしまっては、せっかく馴染んだのに萎縮させてしまう。

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優しく撫でながら、噛んだらいたいんじゃよと言い聞かせる日々が続く。とにかく、ここまで甘えたがりの子は初めてだった。

膝にのりたい。布団に入りたい。ぴったりとくっついていたい。これまで一緒にいた猫たちは程よい距離感を保っていたから、余計に驚いたし可愛かったのだ。

ところが、甘えたがりというのは、転じて嫉妬深いのである。

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多頭飼いするときには、常に先住猫を立てなくてはいけない。

食事にしても、おやつにしても、撫でるにしても、必ずぴろしきからしなくてはいけないのである。それが猫社会というもの。

しかし、さくらはその猫社会の常識を知らなかった。

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ぴろしきの餌を奪う、おやつには割り込む、ぴろしきを撫でていると飛びかかってくる。

そして噛む。

まさに暴君。どうしたものかと悩んでいたとき、面白い行動を見つけた。ぴろしきがやってることを真似したがるのだ。

なら、

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