![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35813641/rectangle_large_type_2_79c93ad5ee679647bcbf05fbe110c645.jpg?width=1200)
暴君さくら
すっかり家に馴染んださくらは、傍若無人っぷりを発露する。そりゃもう、走る、爪を研ぐ、飛びつく、噛む。
とくに最後のが問題だった。本人(本猫)は甘噛みのつもりなのだろうが、けっこう痛い。ちっちゃな牙が突き刺さるのだ。だがしかし、ここで「コラっ!」と怒ってしまっては、せっかく馴染んだのに萎縮させてしまう。
優しく撫でながら、噛んだらいたいんじゃよと言い聞かせる日々が続く。とにかく、ここまで甘えたがりの子は初めてだった。
膝にのりたい。布団に入りたい。ぴったりとくっついていたい。これまで一緒にいた猫たちは程よい距離感を保っていたから、余計に驚いたし可愛かったのだ。
ところが、甘えたがりというのは、転じて嫉妬深いのである。
多頭飼いするときには、常に先住猫を立てなくてはいけない。
食事にしても、おやつにしても、撫でるにしても、必ずぴろしきからしなくてはいけないのである。それが猫社会というもの。
しかし、さくらはその猫社会の常識を知らなかった。
ぴろしきの餌を奪う、おやつには割り込む、ぴろしきを撫でていると飛びかかってくる。
そして噛む。
まさに暴君。どうしたものかと悩んでいたとき、面白い行動を見つけた。ぴろしきがやってることを真似したがるのだ。
なら、
わしの本の宣伝をさせたらいいんじゃね?