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時間は流れていると感じる.
急に涼しくなり,いつもの外勤先に着く頃にはすっかり日が落ちるようになった.梅雨には紫陽花が咲いていた道を通ると,金木犀の香りがした.いちごのデザートの季節はとっくに終わり,さつまいも味が並んでいる.

間違いなく時間は進んでいて,流れていて,それは僕にもあてはまることで.
妻と息子の不在はもうすっかりと日常になり,一人年齢を重ねる準備をしている.時間の流れに取り残されているなんて特別なことではなくて,他のあらゆるものと同様の時間を過ごす中で,後ろばかりみているだけだ.

妻の弟さんのところにお子さんが生まれた.妹には3人目が生まれた.
その報せが,こんなことを思ったきっかけだ.
祝いたい気持ちの次に覚えたのは,過去が霞むほど,未来に何かを期待することは自分にはないのだろうという諦めにようなものだ.そこに失望はない.

出会っていなかったら,僕は今何を想い考えているのだろう.
未来は奇跡なのだろうか.過去は運命なのだろうか.(これはある本で読んだ言葉)
妻と息子の思い出は,できるだけそのまま覚えていたかったが,いつのまにか美しく化けてしまったから,そう思う.

時間に流されつつ,後ろばかりみながら前に進むというのはそれほど苦ではなくて.
順当に行けばこれから数十年を過ごす方法としては,悪くはないと思うのだ.

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