虫のスクリプト
虫なんかただ怖いし、うっとおしいだけ
綺麗な蝶は好きよ
でも、見た目がグロい芋虫や、血を吸いにくる虫や、ただただうっとおしいだけの羽虫たち
やだ。大嫌い!
わたしはそんなことを思いながら、畦道を自転車で走っていました
夕方に活動し始める虫の声や、田んぼに住む蛙たちの声がわたしに聞こえています
心地よい風がわたしの頬を撫でるのを感じる
わたしは家に着いて、ただいま。って玄関のドアを開けて。その後すっと左側のふすまを開きます。
おかえり
優しい声が聞こえて
わたしは心から安心できる
わたしはただその暖かい、小さなひとにわたしの今日あったことや感じたことを話します
その人はただただ優しくうなづいて、そのしわがれた暖かい手で、わたしを包んでくれた
なんて柔らかくて暖かい
恐ろしく感じた芋虫は
やがて美しい蝶になって
うっとおしい羽虫たちは
蛙やヤモリ、鳥たちの貴重な餌になる
血を吸いにくる虫すらも、ただの輪廻
小さなわたしは、そんなことに気づいた自分にびっくりしながら、優しい人に言えずにいます
なのに、ただその人は優しくうなづいて、わたしの言葉を促すこともしないで、暖かい微笑みをわたしにくれる
わたしの、柔らかい感性が処理しきれなくて混乱している理を、ただそのまま受け入れてくれていたんだ、、と、わたしは静かに感じながら、わたしにしか聞こえない音、を聞いています