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【グラジオラスの花束 〜制服の人魚〜「石森璃花」】10話



「いいですね!美味しそうです!」

夏休みのイベントでスイーツカフェ「渚」と海の家でコラボすることになったカフェ「マーメイド」。

「でしょ?」
「あとはメインの料理ですよねぇ.....」
「そうだねぇ.....焼きオムライスは?」
「ん〜どっちかと言うと冬かなって」
「まぁそうか.....」
「一旦定番メニューは入れますもんね?」
「そうだね、焼きそば、浜焼き、フランクフルト、イカ焼き.....」
「ん〜あとはなんだろう.....」
「例えばフルーツを使った料理とかあったりする?」
「あ!手羽先の甘辛パイナップルダレとか!」
「美味しそうだね〜」
「あとはリンゴのかき揚げとかもありますね」
「そんなのもあるんだ!」
「これ美味しいんですよ〜」
「いい感じになりそうだね」
「ですね!楽しみです!」
「一旦じゃあ次までにお互い試作品作ってみよっか」
「はい!楽しみです〜」
「そうだね!お陰様で絶対いいイベントになるよ」
「いやいや!こちらこそ誘っていただいて!」
「全然!.....やば!そろそろお店戻るね!」
「わざわざ来ていただいてありがとうございます!」
「ううん!また来週ね」
「はい!」

亮は足早と店をあとにした。

「おはようございます」
「礼央くんおはよ!」
「亮さん来てましたけど何話してたんですか?」
「今年の夏休み『渚』と海の家やることになってね」
「ほんとですか!」
「礼央くんにもお手伝いお願いしてもいい?」
「もちろんです!」
「いとちゃんも来れるかなぁ.....」
「純葉どうせ暇なんで大丈夫です」
「笑笑 また週末2人と被る時に詳細伝えるね!」
「はい!」
「じゃあ今日も頑張ろ〜!」

いつも通りディナーの準備を始める。

「雨降りそうだね.....」
「仕込みの量抑えますか?」
「そうしよっか。あ、レモン切らなきゃ」
「僕、ソースの準備しますね」
「うんありがとう」

璃花はテキパキと動く礼央くんを眺めていた。

「.....なんですか?笑」
「え!?いや、なんでも.....」

バイトし始めた頃は可愛い弟みたいだったのに、いつの間にか身長も大きくなって.....。

「痛っ!」
「璃花さん!?」
「切っちゃった.....」
「看せてください」
「ちょっと切っただけだから.....笑」
「レモン染みちゃいますよ」

礼央はレジ下にある救急箱を持ってきて璃花の手を取る。

「大丈夫だよ?」
「そのままにしてたら食器洗う時とか辛いじゃないですか.....」

手際よく手当してくれる礼央に少し驚いた。

「.....よく知ってるね...手当なんて」
「純葉がよく怪我するので慣れてるんです」
「そっか.....」
「.....ここ押えててください」

礼央くんってまつ毛長いんだ.....。

「璃花さん?」
「え?なに?」
「ここ押えててください笑」
「は、はい!」

そう言いながら礼央は絆創膏を取り出す。

「大丈夫ですか.....?笑」
「ごめん、今日ぼーっとしてるかも笑」
「偏頭痛持ちとか?」
「ううん、違うと思う」
「そうですか.....もう離しても大丈夫ですよ」
「......」
「......はい、また血が出てきたら言ってください」
「はい.....」
「レモン切るの代わりますね」
「ありがとう」

少しドキドキしてる自分に気が付き、自制するように礼央が高校生であることを思い出す。

「璃花さんって意外とおっちょこちょいですよね笑」
「あ〜笑  いじってるの〜?笑」
「いや?  可愛いなぁって」
「え.....?」
「.....あ!いや!その違くて!」

しばらく礼央くんの顔が見れなかった。

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