見出し画像

【グラジオラスの花束 〜無言の宇宙〜「上村莉菜」】5話

週末、私は役のイメージを固めるために永田くんを誘って遊びに来ていた。

「お待たせ!」
「うわ!びっくりした!」
「じゃあ行こっか」
「う、うん」
「緊張してるの?笑」
「うん.....まぁ」
「私も亮くん以外の人とデートするの初めて」
「内村くんが初めての彼氏なの?」
「うんそうだよ」
「知らなかった」
「亮くんの話はいいよ!笑 今日は渚と優人だから」
「そうだった」
「じゃあまずはカフェに行こっか」
「そうだね.....2人の思い出のカフェ」

部長が書いた脚本は実際にあるお店や風景を元にしているため、みんなイメージを固めるためにその場所に訪れることが多々あった。

そして今日は渚と優人の思い出のカフェ「マーメイド」に来た。

『いらっしゃい!お2人ですか?』
「はい」
「お好きな席へどうぞ〜」
「ありがとうございます」
「奥、行こっか」
「うん」
「上着、こっちに置く?」
「ありがと」
「見て見て、焼きオムライスだって〜」
「焼きオムライス?普通のオムライスと何が違うんだろ.....」
「優人はそんなのも知らないの?笑」
「あ、めっちゃ渚っぽい笑」
「ぽいとか言わないの笑」

気が付いた永田くんは役を続ける。

「渚だって知らないんでしょ?」
「少なくとも優人よりは知ってるよ」
「じゃあどんな料理?」
「.....美味しいやつ」
「だいたい全部そうでしょ笑笑」
「笑笑」
「じゃあせっかくだし、これにしようか」
「うん」
「他にもラッシーとかあるよ」
「それも頼も!」
「すみませ〜ん」
「は〜い.....お待たせしました!」
「うわ!びっくりした!」
「え〜可愛い〜小学生?」
「はい!4年生です!」

ちっちゃくてもきっと私たちよりしっかりしてるのは彼女と接してて伝わってきた。
だからこそ褒めてあげたいと思った。

「お手伝い出来て偉いね〜」
「凄いな.....笑」
「ありがとうございます!ご注文お伺いします!」
「この焼きオムライスとラッシーください」
「僕も同じのを」
「え!!ありがとうございます!!」
「ん?」
「これ璃花が作るんです!」
「そうなんだ!楽しみ〜!」
「ありがとうございます!ではすぐお持ちします!」
「.....凄いね」
「ね!」
「カフェで渚と優人は毎週勉強して親交を深めた.....」

ナレーションも一応読み上げる。

「.....優人は好きな人居るの?」
「え?」
「ほら優人でしょ?」
「あそっか.....好きな人出来たことない」
「そっかぁ.....」
「.....」
「.....」
「.....私には聞かないの?」
「居るの.....?」
「居るよ」
「どんな人?」
「優しくて真面目でウブな人」
「そんな人居る?笑」
「居るよ、今その人は私の目の前で笑ってる🙂」
「.....」
「.....優人?」
「あ、セリフ飛んじゃった」
「も〜笑  せっかくいい感じだったのに!笑」
「ごめん.....笑」

いいなと思ったら応援しよう!