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【グラジオラスの花束 〜無念〜「松田里奈」】3話


「里奈〜」
「湊音〜!」
「懐かしいな櫻彗高校.....」

軽音部の後輩に誘われた里奈は、湊音を連れて櫻彗高校の文化祭に来ていた。

「言うて3年前やろ笑」
「で?その面白いってやつは何時から?」
「午後からやね.....どうする?普通に楽しむ?」
「そうしようぜ」
「あ!カブ先!」
「うーわ...最悪.....」
「えぇ!?愛しの生徒にそんなこと言う?」
「誰かも覚えてないわ」
「嘘つけ!ライブ来てたくせに!」
「たまたまな.....佐藤も元気だったか?」
「うっす」
「チャラチャラと色々付けてから.....」
「うるせぇな笑」
「2人とも音楽活動、頑張ってんのか?」
「あー.....湊音は頑張ってるんですけど.....」
「察してください.....笑」

湊音が気まずそうにフォローする。

「まじか.....なんだよ気まずいじゃねぇか.....」
「でも!元気ですから!」
「なら良かったわ。あ、言っとくけどビールはねぇぞ佐藤」
「俺をなんだと思ってんすか笑」
「ばいばーい👋笑笑」
「👋」
「何から回る?」
「一旦喉乾かん?」
「ビールないよ?笑」
「お前まで.....笑」

飲み物探して三千里、韓国フェアなるものを見つける。

「いらっしゃいませ〜!」
「チーズハットクとミックスジュース2つずつでお願いします!あとクァペギってなんですか?」
「揚げパンみたいなやつです!」
「へ〜!じゃあそれも1つ!」
「2等分しましょうか?」
「あ、じゃあお願いします!」
「はーい!礼央くんお願いね」
「おいくらですか?」
「1,500円です!」
「湊音、200円ある?」
「あると思う.....ほい」
「ありがと!これでお願いします!」
「はーい!ではこちらにズレてお待ちください!」
「クァペギって初めて聞いたね」
「お〜、佐藤くん」

いかにも仕事出来そうな人が湊音に話しかける。

「えぇ!?びっくりしたぁ!お疲れ様です」
「お疲れ〜元気にしてた〜?」
「はい.....どうしたんすか?こんな所で」
「その前に.....?」
「あ、松田です」
「こちらFind recordの鈴木光留さん.....と?」
「えぇ!?」
「あ.....中嶋です」
「待って待って、Find record!?どういうこと?」

大手芸能事務所Find record。
今活躍している芸能人のほとんどがここに所属していると言っても過言ではないくらいの大きな事務所。

「そんなに驚かなくても笑  チーフマネージャーの鈴木光留です。中嶋はうちの新人です」
「よろしくお願いします.....」
「え!?マネージャーなんですか?可愛い.....」
「えぇ!?いやいや!そんな.....!」
「鈴木さんは音楽イベントで何回か世話になってて.....でもなんで櫻彗に?」
「あ〜.....まぁこの後すぐだしいっか。実は蒼空がサプライズで出るのよ」
「えぇ!!?」

どうして湊音がそんなに驚いているのか分からなかった。

「ごめん、優月は先に蒼空にチーズハットクとクァペギ買って持っていってあげて」
「はい!」
「え、蒼空ってあの永田蒼空ですよね?」
「えぇそうよ」
「待って湊音.....ごめんあんまり凄さ分かってない.....」
「あら、それは私たちのプロデュース不足かも知れないわね笑」

鈴木さんは笑い方からも仕事できそうな感じが溢れ出していた。

「えっ!あ、すみません.....」
「なんで知らねぇんだよ.....うちの櫻彗高校在学中に当時注目されてた映画に出て、主役を食う勢いで目立ってそのまま芸能界入りした若き天才だよ.....今度ハリウッドデビューも決まってて正直こんな所に居ていい俳優じゃない」
「あら、べた褒めじゃない笑」
「今度のハリウッド映画、俺が好きなアメコミで.....笑」
「そんなに凄い人がなんで?」
「モリタリングって番組あるでしょ?」
「森田ひかるの?」
「えぇ、あれで変装した蒼空が当時を思い出しながら、ここで色々体験するっていう番組の企画で来てるのよ」
「へ〜.....まじか.....」
「んで今は待機中だから私たちがおつかいに来たところ」
「そういうことなんですね.....」
「それに今の櫻彗には山下瞳月もいるし、撮れ高大アリなのよ」
「あそっか!確かに今年やばいな.....」

すると鈴木さんのスマホが鳴る。

「はい、鈴木です.....分かりました.....はい.....失礼いたします.....ごめんなさいね、戻らなきゃ」
「いやいや!こちらこそ足を止めてしまいすみません」
「佐藤くん、また今度のイベントよろしくね」
「はい!」
「松田ちゃんもまた会えたらその時はよろしくね」
「はい.....」
「まじか.....今年やべぇな」

鈴木さんが私に対しても「また」という言葉を使ったのが妙に気になったけど、すぐに杞憂だと思うようにした。

「里奈、あそこのベンチで食べようぜ」
「うん.....」
「.....いただきま〜す」
「.....美味しい?」
「見て笑  冷めて全然伸びない笑笑」
「笑笑」

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