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【グラジオラスの花束 〜制服の人魚〜「石森璃花」】19話 Fin.
純葉「あー!いい天気ー!」
礼央「暑っつい.....」
あれから約1週間。
海の家は昨日で終わり、今日は一日中遊ぶ日。
璃花「2人ともちゃんと日焼け止め塗った?」
純葉「塗った!」
礼央「僕は強そうな見た目になりたいので塗りません」
純葉「そっかぁ...礼央の白い肌好きだけどなぁ.....」
礼央「塗ります」
璃花「はい、どうぞ!笑」
みんな水着に着替えて海へ。
璃花「美羽ちゃん日焼け止め塗った?」
美羽「塗りましたよ」
璃花「効果すぐ切れるから定期的に塗るんだよ」
美羽「え!そうなんですか?」
璃花「うん!あ、じゃあ塗ってあげようか?」
美羽「お願いします」
璃花「いいえ〜」
美羽ちゃんのお肌すべすべだぁ.....。
璃花「ねぇねぇお肌のケア、何してるの?」
美羽「え?.....特には」
璃花「うそー!ほんとに?」
美羽「ほんとに笑」
璃花「絶対うそだ、めちゃくちゃ綺麗だよ?」
美羽「璃花さんも綺麗ですよ」
璃花「いやいや、やっぱり高校生は違うわ.....」
美羽「3歳しか変わらないじゃないですか笑」
璃花「いや!全然違うから!笑」
美羽「璃花さんも塗ってあげる」
璃花「ほんと?ちょうどもうそろそろ効果切れる時だったんだよね〜」
美羽「璃花さんもお肌すべすべですよ」
璃花「また言ってから〜笑」
美羽「ほんとのことですから!笑」
礼央「純葉!?」
あっ.....
視線の先にあったはずの私の恋.....。
美羽「璃花さん」
その視線を美羽ちゃんに遮られる。
美羽「見ちゃダメ」
璃花「うん.....」
美羽「楽しいことしましょ?」
璃花「楽しいこと?」
美羽「ことっていうか美味しいものというか」
美羽ちゃんが指さす方向には他の海の家たち。
璃花「あ!いいね!」
美羽「忘れろなんてそんな無責任な事言いません」
璃花「.....」
美羽「ただ、ちょっとずつ楽しいことの比率を増やしましょうよ」
璃花「美羽ちゃん.....」
美羽「私も璃花さんともっと仲良くなりたいし」
この子はほんと.....笑
璃花「ねぇねぇ美羽ちゃん」
美羽「はい?」
璃花「りか姉って呼んでみて?」
美羽「え.....」
璃花「いいから!」
美羽「りか姉」
璃花「可愛い!!」
つい頭を撫でてしまう。
美羽「あわわわ」
璃花「あ、ごめん」
美羽「いや、別に笑」
璃花「あ、そうだ!ヘアアレンジしてあげようか?」
美羽「え!?いや!大丈夫です!」
璃花「なんで?絶対可愛いよ?」
美羽「いや!もう、ほんと大丈夫です」
璃花「なんでよ〜ほらここ座って」
美羽「.....え、逃げちゃダメですか?」
璃花「だめ🙂」
大人しくちょこんと座る美羽ちゃんが可愛い。
そんな美羽ちゃんに耳打ち。
璃花「どうする?結冬くん釘付けにしちゃう?」
美羽「!!?」
璃花「笑笑」
美羽「うわ!絶対いじってる!笑」
璃花「いじってないよ〜笑」
美羽「いじわるさんだ」
璃花「石森いじわるさん?笑」
美羽「そう笑笑」
璃花「.....今朝ね」
美羽「はい」
璃花「いとちゃんのヘアアレンジやってあげたの」
美羽「そうなんですか?」
璃花「うん」
美羽ちゃんは黙って私の手を握ってくれる。
璃花「その時のいとちゃん、頭の中が礼央くんでいっぱいでね.....」
美羽「うん」
璃花「そのいとちゃん見てると自然と嫉妬心が薄れていったんだ」
美羽「そっかぁ.....」
璃花「最初から心のどこかで叶わないって気づいてたのかも。だからのめり込んでもなかった」
美羽「.....」
璃花「ありがとね、美羽ちゃん」
美羽「いや、私は何も.....」
璃花「ううん、あの日美羽ちゃんが私の事止めてくれなかったらきっと勝手に傷ついてた」
美羽「璃花さん.....」
璃花「だから美羽ちゃんをめちゃくちゃ可愛くしてあげるね」
美羽「.....お願いします」
璃花「うん!」
神様...どうか美羽ちゃんもなぎちゃんもどっちも幸せになりますように.....。
美羽ちゃんはそわそわしながら、結冬くんとなぎちゃんの所に向かう。
亮 「璃花ちゃん、純葉ちゃんたちは?」
璃花「向こうでイチャイチャしてます.....笑」
亮 「あぁなんだ、眩しいから太陽かと思ってたわ」
璃花「あははは笑 たしかに笑 眩しいです笑」
そう...そのままずっと2人一緒に居て欲しい.....。
いつの間にか、そう思えるようになっていた。
璃花「いとちゃ〜ん!礼央く〜ん!」
純葉「は〜い!」
亮 「よし!海と言えば!」
一同「ビーチバレー!!」
亮 「なぎちゃん!璃花ちゃん!」
二人「はい!」
亮 「さいしょはグー!」
二人「じゃんけんほい!」
凪紗「👊」
璃花「✋」
純葉「やったー!!」
亮 「準備はいい?」
一同「はい!!」
ピー!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
色んなことが起きた海の家は幕を閉じ、そしてそこから2週間が経ったある日。
マーメイドの営業も再開して夏休みの余韻で忙しかったが、今日は生憎の雨。
客足は少なかった。
カラン
璃花「いらっしゃいませ!」
響介「よっ」
璃花「明石くん.....」
響介「夏休みなのに全然人居ないんだね」
璃花「雨だからね〜」
響介「そっか.....」
そのまま明石くんはキッチン目の前のカウンターに座る。
璃花「で?」
響介「.....何が?」
璃花「何か話があって来たんでしょ?」
響介「何も無いよ.....」
璃花「.....ご注文は?」
響介「お酒ってもう出せるの?」
璃花「あと5分後にね」
響介「はいはい、待ちますよ」
璃花「はぁ...ハイボール?」
響介「サンキュー」
璃花「特別料金として私の分も頂きますんで」
響介「好きにしろ.....今日は石森と飲みたかっただけだから」
璃花「やっぱり話があるんじゃん」
2人分のハイボールを準備して、店を閉める。
響介「いいの?」
璃花「もう今日は来ないよ」
響介「そっか.....」
そして明石くんの隣へ。
響介「お疲れ」
璃花「お疲れ様」
グラスの当たる音を合図に、2人とも一気飲み。
二人「プハァ!」
響介「なんだよ、なんかあった?」
璃花「明石くんこそ」
響介「関係ないだろ」
璃花「じゃあ私も関係ない」
響介「そうかよ.....」
璃花「.....ふふっ笑」
響介「なんだよ笑」
璃花「なんでもない笑 新作のおつまみの試食してよ」
響介「何系?」
璃花「チーズ系とお魚系どっちがいい?」
響介「どっちも」
璃花「言うと思った」
響介「.....ちなみにそれは」
璃花「もちろん払ってもらいまーす」
響介「はいはい.....笑」
璃花「ハイボール?」
響介「薄めで」
璃花「どうしたの?」
響介「.....雨だから」
璃花「.....じゃあ私も薄めにしよっと」
顔を見合わせて2回目の乾杯。
響介「.....ポテトサラダ?」
璃花「うん、これを...スライスチーズで巻くの」
響介「美味そうじゃん」
璃花「ケチャップ?ウスターソース?」
響介「オススメは?」
璃花「試したことないけどレモンとかどう?」
響介「じゃあそれで」
璃花「不味くてもお金払ってね?」
響介「大丈夫だよ、石森の料理を不味いと思ったことない」
璃花「.....そっか」
今朝、自分用にタロットカード占いをした。
璃花「どうぞ」
響介「どうも」
璃花「1個残しといてね」
響介「え、美味」
璃花「聞いてる?」
響介「無理、全部食べた」
璃花「もう.....笑」
響介「もう一個のは?」
璃花「もうすぐできるよ」
響介「ん」
璃花「.....どうぞ」
響介「いや美味そうだな」
璃花「ふふ笑 でしょ?」
そのまま明石くんの横に座る。
璃花「どう?」
響介「.....あ、これ好き」
璃花「私も食べたい」
響介「ほい...あ」
璃花「自分で食べられるから笑」
響介「良いから笑」
璃花「...ん.....ん!美味ひい!」
響介「食べてから喋れよ笑」
璃花「早く共有したくて.....笑」
結果は『月』の逆位置だった。
Fin.