【グラジオラスの花束 〜制服の人魚〜「石森璃花」】7話
櫻彗高校の文化祭に今年も招待されたカフェ「マーメイド」の店長、石森璃花。
現役大学生でありながら、怪我をした父に代わりお店を任されていた。
「じゃあ礼央くん、いとちゃん!すぐ戻るけど何かあったら気軽に電話してね〜」
「分かりました」
「いってらっしゃ〜い!👋」
「👋😊」
お世話になってるあのお2人に挨拶しなきゃ.....。
「おぉ!璃花ちゃん!」
「こんにちは〜」
「良かった!今年も来てたんだね!」
「亮さんこそ!今年も全部美味しそうです〜」
「ありがとね笑 マーメイドは今年はどういうコンセプト?」
「今年は韓国料理です!あ!これどうぞ!お口に合うか分かりませんが.....笑」
少しずつ全種類入れておいたものを渡す。
「え!いいの?」
「はい!お2人で召し上がってください!」
「ありがと〜!今年のマーメイドのテーマは?」
「韓国です!」
「あぁ!流行ってるもんね!うちも.....これ」
「あ!パルミカレ!気になってたんですよ!」
「やっぱり生徒たちからも人気でさ、韓国ブームって凄いよねぇ」
「ホントですね!私のところも女の子がたくさん来てくれました笑」
「お礼と言っちゃなんだけど1個どう?」
「いいんですか!」
「もちろん!お互い頑張ろうぜのやつだよ」
「えぇ...ありがとうございますぅ.....笑」
「あと最近出したフローズンドリンクも付けとくよ」
「いやいや!さすがに買わせてください!」
「いいのいいの!」
こうやっていつも優しくしてくれて...ほんとありがたいなぁ.....。
「ありがとうございます.....笑」
「大学生しながらお店も経営するなんて偉すぎるからさ」
「えへへ.....笑」
「あ!璃花ちゃん!」
「莉菜さん!」
「元気だった〜?」
「はい!おかげさまで!」
「私はなにもしてないよ笑」
「いやいや!色々と助けて頂いてるので」
「も〜ほんと可愛いな〜、亮くんカップティラミスも付けてあげようよ」
「俺も同じこと思ってた」
「いやいや!大丈夫ですから!笑」
亮さんが経営してるスイーツカフェ「渚」には私がお店を任されるようになってからずっとお世話になってる。
「渚」で出してるスイーツをうちで提供させて頂いたり、スイーツ作りの勉強をさせてもらったり。
「今日は最後まで?」
「今日最後までです!」
「あれなら俺ら早めに切り上げる予定だから手伝いに行くよ!」
「何から何まで.....ほんとにありがとうございます」
「お互い様だから!笑」
「残りの時間も頑張りましょ!」
「うん!おつかれ!」
「お疲れ様です!」
挨拶も出来たし、あとは高校生たちがどんなお店出してるか見て回ろ〜っと。
「石森!」
「明石くん!?なんで?」
「まぁ色々と...唯衣見なかった?」
「朝会ってから見てないけど.....」
「そっか...やっぱり.....」
「ちょっと!」
思わず明石くんの腕を掴む。
「なんだよ」
「話したいこといっぱいあるんだけど」
「今じゃなくてもいいだろ」
「.....そうやってまた逃げるんだ」
バツの悪そうな顔して.....。
「忙しいからってそんなのただの言い訳だよ?」
「石森だって結局唯衣には言えなかったんだろ」
「それは.....」
だってそんなの.....。
「それとも間違いで済ませるか?」
「.....最低」
「.....そうだな」
これ以上はたぶん私も傷付くと思うと、何も言えなくなってしまった。
「.....なぁ」
「なに?」
「さっき会った時、橋本も居た?」
「.....うん」
「そっか.....」
「邪魔しないで」
「大丈夫.....そのつもりで来たから」
「言っとくけど明石くんが悪いからね」
「そんなの俺が1番理解してる」
「.....今日あっちに帰るの?」
「あぁ」
「そっか.....」
「.....その...悪かった.....あの時は」
「やめて.....」
ほんとなんであんなこと.....。
「.....ほんと最低」