見出し画像

【グラジオラスの花束 〜真夏に何か起きるのかしら〜「小島凪紗」】22話



BBQも終わり、それぞれで片付けをしていた。

凪紗「これ、そっち持ってこうじゃない?」
美羽「え?ほんとに?」
結冬「説明書見せて」
凪紗「はい」
結冬「.....ん?どういうこと?」
美羽「見たい」
結冬「はい」

ん〜.....なんだこれ?

凪紗「璃花さんに聞いた方が早くない?笑」
結冬「いや!ここはまだいける!」
美羽「すぐ諦めちゃだめだよ?」
凪紗「そういうの悪あがきって言うんだよ」
結冬「居るわ〜...そうやって足並み乱すやつ.....」
美羽「やつ〜.....」
凪紗「え?私が悪いの.....?笑」
美羽「そうだよ」

美羽に両頬を摘まれる。

美羽「見て見て」
結冬「ん?」
美羽「ウーパールーパー」
結冬「なにしてんの?笑」
凪紗「離せっ.....!」
美羽「だめだよ、大人しくしといて」

.....なん...かっ!力強いんだけど.....!!

結冬「おい、遊ばずに手伝いなさいよ」
美羽「疲れた」

離してくれた。

凪紗「結冬先生、美羽がサボってまーす」
美羽「言うな」
結冬「村山はいいや」
凪紗「なんで!?」
結冬「居ても居なくても変わらん」
美羽「凪紗先生、傷つきました」
凪紗「そうだねぇ...酷いねぇ.....」

可哀想なので抱きしめてあげよう。

凪紗「結冬くんダメでしょ?美羽ちゃん泣いてるよ?」
美羽「あいつボコボコにしてください」
結冬「かかってこい」
凪紗「ねぇもう...終わんないよ.....笑」
結冬「絶対に君たちのせいですけどね」
美羽「しょうがないから璃花さんに聞いてきてあげる」
結冬「もっと早く行け」
美羽「あー...そんなこと言っていいんだ」

あれ...なんだこの気持ち.....。

結冬「ダッシュ」
美羽「怒るよ?」
凪紗「.....笑笑」

美羽の背中をぼーっと見ていた。

.....やっぱり美羽も好k

結冬「あ!分かった!」
凪紗「びっくりしたぁ!!」
結冬「これこっち先に取るんだ!!」
凪紗「え?そうなの?」
結冬「.....ほらぁ!」
凪紗「ほんとだ.....」
結冬「誰?こっちが正解とか言った人」
凪紗「美羽ですね」
結冬「ポンコツめ.....」
凪紗「美羽の事好き?」
結冬「え?」
凪紗「.....ん?」
結冬「どういうこと?」

.....あ!!

凪紗「あ!いや!なんでもない!」
結冬「.....下手くそか」
凪紗「な、なにが.....」
結冬「.....好きでもなんでもないよ」

結冬は道具を片付けながら続ける。

結冬「なぎと一緒で妹みたいなもん」
凪紗「.....そっか」
結冬「君たち、似た者同士だね」
凪紗「え?」
結冬「さっき村山も『可愛いと思う人誰?』って」

え.....。

凪紗「.....なんて答えたの?」
結冬「なぎって答えたけど」
凪紗「えぇ!!!!?」
結冬「なんか誰かにも話した気がするけど、なぎって犬みたいで可愛いんだよね.....お手」
凪紗「わん」

あ、

結冬「ほら笑笑」
凪紗「いや!今のはつい!」
結冬「そういうところ妹みたいで可愛いなって思うよ」

結冬は私の頭に手を伸ばす。

結冬「昔から双子みたいに育てられてきたしね〜...お〜よしよし.....」
凪紗「やめろっ!!」

でもじゃあなおさら気になる事が.....。

凪紗「じゃあ美羽は?」
結冬「村山?なんで?」
凪紗「美羽も猫みたいじゃない?」
結冬「あ〜たしかに」
凪紗「たしかにって...可愛いとかないの?」
結冬「考えたことなかったな...お!できた!!」
凪紗「そっか.....」

すると美羽が戻ってくる。

美羽「璃花さん電話してた〜」
結冬「あ、それができちゃったんだよね笑」
美羽「え〜.....」
結冬「ほらな?村山要らn」
美羽「私のビンタ、痛いって噂だけど?」
結冬「んふふふ」
美羽「んふふふ」

ニコニコし合う2人を見て胸がズキズキ痛む。
いつからこんなこと思うようになっちゃったんだろう.....。

結冬「あ!分かった!これこうじゃない?」
美羽「え?違うでしょここを.....こうだってば!」
結冬「はぁ?」
美羽「.....ほらできたじゃん」
結冬「.....いいや、違うね」
美羽「いやできてるじゃん!ね?なぎ?」
凪紗「え?」
美羽「あ〜...サボってたんでしょ〜」
凪紗「違うよ!」
結冬「さいてー」
凪紗「違うってば!」

美羽に嫉妬しちゃってるんだ.....。
ダメだな.....いつも通り...いつも通り.....。

璃花「どう?終わった?」

そこに璃花さんが来る。

凪紗「結冬と美羽がポンコツすぎて時間かかりました」
美羽「はぁ?」
結冬「説明書が分かりづらすぎるんだよ」
凪紗「バカだからじゃない?」
結冬「言われてるぞ、村山」
美羽「違うよ、沢村くんだよ」
凪紗「2人ともだよ」
璃花「冷凍庫にアイス入ってるから食べなね笑」
凪紗「ほんとですか!」
結冬「おっ先〜」
美羽「あ、ズルしてる」
凪紗「ちょっと!荷物置きっぱ!」
美羽「なぎ、持ってきて〜」
凪紗「ちょっと!」

こうやって3人、ずっと仲良しで居たいはずなのに.....。

結冬「なんだもう食べてんじゃん」
純葉「お先で〜す!笑」
美羽「それなに食べてんの」
純葉「パナップです!」
凪紗「礼央くんは?」
礼央「パリパリバーです」
結冬「美味いよなぁ」
凪紗「分かる」
礼央「分かる」
美羽「ねぇねぇめっちゃある」
凪紗「ほんと!?」
結冬「食いしん坊じゃん」

いつか美羽に結冬を取られたら...なんて考えてしまう.....。

凪紗「え!めっちゃある!!」
結冬「うーわ...どれにしようかな.....」
美羽「バニラじゃないの?」
結冬「バニラもいいけど、せっかくだし夏っぽいもの食べたいよね」
凪紗「氷系のやつ食べたら?」
美羽「私それにしよっと」
結冬「うわ、迷うな.....」
美羽「沢村くん、これね?」
凪紗「勝手に笑」
結冬「なんでだよ笑」
美羽「いいから!」
凪紗「じゃあ私これにしようかな〜」
純葉「あ!それ!!」

純葉の大きな声にびっくりして振り向く。

莉菜「気づくの早いね笑」
礼央「花火!!」
璃花「せいか〜い」
凪紗「花火!!?」

それぞれアイスを持ってみんなの所へ。

亮「やっぱり夏といえば花火っしょ!!」

ダメダメ...今は楽しまなきゃ.....!

純葉&凪紗「いえーい!!」
璃花「楽しむぞ〜!」
純葉&凪紗「うぉーー!!」
礼央&美羽&結冬「うぉ〜」

みんなでぞろぞろと砂浜に向かうと、他のログハウスの人たちも花火を楽しんでいた。

純葉「見て!」
凪紗「わぁ.....!」

その花火が海に反射して、まるで花火大会みたいだった。

花火をどれにしようか迷っていると、自然と2人並ぶ美羽と結冬が居た。

でもお似合いなんだよなぁ.....。

純葉「わぁ...綺麗.....」
莉菜「夏だねぇ」
亮「ね〜」
凪紗「小さい頃を思い出します」
璃花「小さい頃?」
結冬「2人で花火したやつ?笑」
凪紗「うん笑」
結冬「なぎの花火に全っ然、火が付かないとかね笑」
凪紗「あった!笑」

飛び散る火花が小さい時の記憶を思い出させる。

純葉「え!それ純葉たちもあった!」
礼央「僕のが全然付かないやつね笑」
純葉「礼央が取る花火は全部付かないのに純葉のはめっちゃ燃えてて、もうおかしくておかしくて笑」
礼央「あったあった笑」
莉菜「どこに遊びに行ったの〜?」
純葉「えっと...なんかタママみたいな名前の.....」
結冬「タママ?笑 ケロロ軍曹?笑」
美羽「懐かし.....笑」
礼央「奥多摩ね?笑」
純葉「そう!そこ!」
莉菜「何歳くらいの時?」
礼央「6歳くらいです」
亮「よく覚えてんな」
礼央「その時に事故に遭ったのでちゃんと覚えてるんです」
結冬&亮「え!?」
凪紗「事故!!?」

純葉が泣きそうな顔をしていたので、事実なことだけは分かった。

礼央「その日は雷が鳴っているくらいの雨が降ってて...何を考えたか1人で山道を歩いてたら、土砂崩れに巻き込まれちゃって.....」
凪紗「えぇ!!?」

後遺症とか.....

礼央「あぁ!大丈夫です!今はほら!この通り元気なので!」
凪紗「そっか.....」

大丈夫なのかな.....。

礼央「その時に誰かに助けて貰って.....」
亮「まじか.....」
純葉「めっちゃ心配したんだから.....」
礼央「ごめんね.....」

そうだよね.....。

礼央「その助けてくれた人をずっと探してるんです」
莉菜「そんなことが.....」
璃花「もしかして、そのキャンプ場ってカフェ併設じゃなかった?」
礼央「え?」

何かに気がついたらしい璃花さんが話を続ける。

璃花「『リバーサイド多摩キャンプ場』って所じゃない?」
礼央「え...そうですけど.....?」
璃花「やっぱり.....」
亮「.....まさか」

ん?どういうこと?

結冬「え?どういうことですか?」
璃花「その土砂崩れ...礼央くん以外にも巻き込まれてる人が居てね」

璃花さんの花火が消える。

璃花「その人...私のお父さんかも.....」

いいなと思ったら応援しよう!