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【グラジオラスの花束 〜君と僕と洗濯物〜「向井純葉編」】3話

礼央との動物園デートも無事に終わり、いつもの休日に戻っていた。

この日は雨だった。

雨.....。
雷.....鳴らないよね.....?

「うわ!ノートないじゃん.....」
宿題をやろうと思ったのに丁度ノートが切れてるし、今日礼央はバイトだし.....。
礼央居ないと買いに行けないよ〜.....。
でもお母さんが帰ってくるまで待ってたら間に合わないし.....え〜.....買いに行くか.....。
憂鬱だ.....。

仕方なく駅まで向かう。

『いらっしゃいませ〜』
「ひぃっ」
『えっ』
「あ、ごごごめんなさい」

びっくりしたぁ.....。
もう.....いらっしゃってないからぁ.....。
ノートノート.....

人目を気にしながら買い物する自分はなんてみっともないんだろう、なんて思いながら探す。

あった.....早く帰ろう.....。

『105円です』
「こ、これで.....」
『ちょうどお預かりします。ありがとうございましたー』

やっとの思いで買い物を済ませ、酸素が薄い場所を出る。

.....あぁああああ!!!!
緊張したぁ!!
もう!!なんでこういう時に礼央居ないの!?
早く帰ろう.....うわぁ.....次のバスまで時間あるなぁ.....。

『向井さんってさ〜』

私の名前が呼ばれた気がして耳を傾ける。

『可愛いのにすごい挙動不審だよね〜』

うわ!クラスの子達だ!逃げろ!

『分かる!可愛いのになんかもったいないというか』

ん?純葉の話?

『話かけたことある?』
『あるけどほんとに授業の事しか話せなかった』
『そっかぁ.....文化祭、誰と回るんだろうね.....』
『なんか一人仲良い男子居ないっけ?』
『.....あ〜!高梨くん!』
『そうだ!高梨くんだ!』
『あの子ちっちゃくて可愛いよね!』
『ね!この前も男子にお姫様抱っこされててさ!笑』

そんなことされてたのか礼央.....笑

『.....やっぱり付き合ってんのかなぁ』
『礼央くんから幼なじみって聞いたよ?』
『あ、そうなんだ!じゃあ礼央くん狙っちゃおっかな〜』
『え!?ああいう子好きなの!?』
『うん。なんかちょっかいかけたくなるというか、守りたくなるというか』

えぇええええ!!!!!?
れれれれれ礼央がモテ始めてる.....!!!?
まずいまずいまずいまずい!!!
礼央が誰かと付き合ったりなんかしちゃったら純葉どこにも行けなくなっちゃう!!!!

家に帰った純葉は頭がその事でいっぱいだった。

『純葉〜お風呂空いたよ〜』
「分かった〜!」

あーどうしよどうしよ.....。

『お姉ちゃん、さっきからうろちょろしてどうしたの?』
「純葉、人生の危機かもしれない!!」
『人生!?』
「あー困った困った.....」
『.....な〜んかよくわかんないけど頑張って』
「うん!応援してt」

その時だった。

ピッシャーン⚡️

「うわぁ!びっくりしたぁ!!」
『おぉ!大きかったね』
「.....礼央!!!」
『おい、純葉!危ないから出るんじゃない』
「でも礼央が!!」
『純葉が行ったって何もできないだろ冷静になりなさい』
「.....はい」
『パパから礼央ママに連絡するから純葉は礼央くんに連絡しなさい』
「分かった.....」

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