【グラジオラスの花束 〜無念〜「松田里奈」】7話
「やっほ〜」
「お疲れです」
「なに〜?私服カッコイイじゃん」
「そうですか?」
「お姉さんドキドキしちゃう.....笑」
「何言ってるんですか笑 行きますよ」
バンドをやる上でもっとお互いの事を知っておいた方がいいと結冬くんから提案され、駅前で集合した。
「あれなら敬語じゃなくてもいいよ?」
「ん〜.....じゃあ徐々に無くします」
「いえ〜い」
「元気ですね笑」
「取り柄それしかいなから笑」
「そんな事ないでしょ笑」
「え〜他に何がある?」
「え"」
「ごめん意地悪した。笑」
「歌声とかですかね」
「優しいね笑」
「あ、でも今のところすごい接しやすいですよ」
「え!ほんと!」
「はい、里奈さんに似てる幼なじみが居るので」
「そうなの?」
「いや、まぁ明るさのベクトルは違いますけど」
「ベクトル?笑」
「はい笑」
「そっか笑」
「逆に大丈夫ですか?僕」
「私誰にでも合わせられる特殊能力持ってるんだよね。すごくない?」
「凄い」
「あ!思ってないやつだ」
「思ってますよ?」
「結冬くんはお世辞が下手だね」
「よく言われます.....笑」
「笑笑」
2人はCDショップに入る。
「私ね、よく休みの日にここで新しい曲探してるんだよね〜」
「今どき珍しいですね」
「メジャーデビューしてないアーティストの人とかだとネットで探しづらいからこうやって現地に見に来てるの」
「へぇ.....」
「結冬くん好きな系統ある?」
「基本的にはポップスが好きですけど、結構幅広く聴いてます」
「あ、一緒だ」
「このジャケットオシャレじゃないですか?」
「どれ?」
「これ」
「あぁ『DCIL』ね!」
「でぃしーる?」
「『Don't cut in line!』通称『DCIL』!」
「あぁ頭文字」
「そうそう。これアイドルなんだよね」
「えぇ!?そうなんですか?」
「びっくりでしょ笑」
「アイドルのCDなのにジャケ写、コインランドリーの写真なんですね笑」
「たしかにね笑笑」
「聴いてみようかな」
「それ試聴出来なかったっけ?」
「そうなんですか?」
「こっち来て」
「.....?」
「あ、ほら」
「.....えーっと」
「耳に当ててごらん」
「はい」
里奈は慣れた手つきで機械を操作する。
「おっ!」
「聴こえた?」
「はい!」
「音量大丈夫?」
「大丈夫です!カッコイイ系なんですね」
「この子達の曲アイドルっぽくないよね」
「たしかに.....うわ好きかも」
「こういうのは?」
「これは?」
「これはね『E.sabel』ってバンド」
「こういうヘビーなのも好きです!」
「これ女子の4ピースバンドなんだけどライブめちゃくちゃ盛り上がるんだよね」
「行ったことあるんですか?」
「ううん、1回前座やらせてもらっただけ」
「すご」
「うちとの盛り上がりの差にメンタルやられた.....笑」
「おっと.....これ以上聞かないことにします笑」
「笑笑 今やインディーズの中では知らない人は居ないくらいの人達になっちゃった」
「へ〜」
2人は1時間くらいお互いの好きなアーティストについて教え合った後、カフェに居た。
「え!まだ誰とも付き合ったことないの!!?」
「え?はい」
「告白されたりとかは?」
「ないですね.....」
「うっそだぁ.....騙かそうとしちょるやろ」
「しちょる?」
「あぁごめん宮崎出身だから」
「え!僕の母も宮崎です!」
「そうなん!?」
「僕自身は行ったことないんですけどね」
「え〜じゃあ今度行こうね〜」
「笑笑 良いですよ行きましょ笑」
「でもそっか〜付き合ったことないか〜」
「里奈さんは?」
「うちもないんだよね〜」
「じゃあ恋愛系の曲書く時、僕ら苦労しそうですね.....」
「たしかに.....好きな人とかは?居る?」
「好きな人.....」
「気になる子とかさ」
「ん〜.....あ、でも可愛い子なら居ますよ」
「え!どんな子?」
「写真あるかな.....」
結冬くんはスマホを取り出して教えてくれた。
「この子です」
「え!可愛いぃ〜」
「まぁでもー」