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【グラジオラスの花束 〜制服の人魚〜「石森璃花編」】1話


「璃花...すまないな.....」
「ねぇ...もう2年経つんだよ?」
「あぁ、でもどうしてもこの時期は」
「私は楽しんでやってるから心配しなくても大丈夫」
「璃花ちゃん、やりたい事があるなr」
「ううん、大丈夫🙂じゃあ今日も行ってくるね」
「行ってらっしゃい.....」

やりたい事が無いわけじゃない。
でもだからといってお店を潰すほどでもない。
別に楽しくやれてるし、色んなことが収束して夢自体は叶ってる


.....はず。


「あの〜すみません.....面接に来た高梨です」
「あ!いらっしゃい!店長の石森璃花です」
「こ、こんにちは」

声が震え、何度も手汗を拭っている。

「緊張してる?笑」
「はい...初面接でして.....笑」
「そうだったんだ!ここどうぞ〜」
「失礼します」

「高校1年生だっけ?」
「はい、櫻彗です」
「櫻彗ね〜.....うち、櫻彗高校の子達いっぱい来るけど大丈夫?」
「あ、なのでキッチンだと嬉しいなって.....笑」
「おっけ〜.....じゃあこの中から好きなカード引いてくれる?」
「これは.....?」
「これはタロットカードだよ」
「タロットカード.....」
「ついでに占ってあげよう」
「分かりました.....好きなカードですか?」
「うん!」
「.....これで」
「じゃあ縦向きで表にしていいよ〜」
「はい.....」

出たのはハングドマンの正位置。

「あ、良いカードを引いたね笑」
「というと.....?」
「ハングドマンの正位置は『試練』とか『修行の時』って意味だからきっとここでいい経験ができると思うよ!」
「へぇ.....」
「よし!採用!」
「えぇ!?」
「いつから来れる?」
「こんなに簡単でいいんですか!?」
「うん、だって判断材料ないもん🙂」
「そうですけど.....」
「今日とかどう?」
「一応、今日は何も無いです」
「じゃあ早速、夜の仕込みを手伝ってほしくて.....」

予約表をスマホで確認する。

「仕込み.....」
「うん、もう既に予約が入ってるからすぐ料理が提供できるように準備しとくんだぁ」
「へぇ〜.....」
「えーっと下の名前れお君だっけ?」
「はい!合ってます」
「漢字は.....」
「礼儀の礼に中央の央で礼央です」
「いい名前だね」
「ありがとうございます.....」
「私の事は下の名前で呼んで欲しいな〜」
「りかさん.....でしたっけ?」
「よく覚えてたね!笑  よし礼央くん、エプロンを付けて欲しいんだけど」

後ろにあるハンガーから小さめのエプロンを取り出す。

「.....これでいけるかな?」
「えーっと.....たぶん」
「そうだよね、小柄だもんね」
「.....大きくなる予定ではあります」

一瞬、すっごい怖い顔をされる。笑

「笑笑  ごめんごめん、そんなつもりじゃ.....笑」
「いえ、大丈夫です。笑」
「シャツ汚れるかも知れないから気をつけてね」
「汚れてもいいやつなので大丈夫です!」
「分かった!じゃあ奥に控え室があるから荷物とか置いたらキッチンにおいで!」
「はい!お願いします!」
「いい返事〜笑」

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