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【グラジオラスの花束 〜無念〜「松田里奈」】6話


「お疲れみんな〜」
『里奈ちゃん!』
『うぇ〜い、おひさ〜👊』
「おひさ〜👊」
「里奈お疲れ」

今日は湊音のバンドが出るライブのお手伝いに来ていた。

「ありがとね、わざわざ手伝ってもらって」
「全然!お金貰えるんで👌」
「現金なやつ笑」
「あら里奈ちゃん」
「鈴木さん!ご無沙汰してます!」

大手芸能事務所Find recordのチーフマネージャー兼プロデューサーの鈴木光留さん。

「ちょうど良かった、この後のライブ一枠ブッチされちゃってどれかのバンドを延ばすか迷ってたんだけど里奈ちゃん出てみない?」
「えぇ!?」
「佐藤くんから聞いたよ?曲がレベルアップしたって」

湊音は笑顔で親指を立ててた。

「いやでも.....」
「大丈夫よ、今回は100人規模の小さなライブだから腕試しだと思って頂戴」
「.....分かりました」
「スタッフには私から伝えておくから」
「分かりました」
『松田さんギターお持ちじゃないですよね?』
「あ!はい」
『レンタルあるんで選んでもらってもいいですか?』
「分かりました!」

リハも終え、舞台袖に下がると湊音が居てくれた。

「里奈、大丈夫?」
「う〜ん.....結構緊張してる」
「久しぶりだもんな.....」
「うん.....」
「でもまじで良くなってたから大丈夫!自信持って」
「そうかなぁ.....」
「これ、前に鈴木さんに言われたんだけど『成功する奴は絶対的な自信を持ってる』って」
「持てないよぉ.....」
「少なくとも俺は信じてる」
「湊音.....」
「楽しもうぜ」
「背中叩いてもらえる?」
「思いっきり?」
「ちょっとだけ笑」
「任せろ」

バシンッ

「.....った!笑」
「笑笑」
「強いよ.....笑」
「里奈がやれって笑」
「でも邪念は取れた!頑張る!」
「おう!」

湊音達の演奏が終わり、本番がやってくる。
ステージが暗転し、誘導灯だけが付く。

『松田さんお願いします』
「はい」
「里奈」

湊音と肩を叩き合う。

「大丈夫」
「うん、楽しむ!」

ステージに立ち、深呼吸をする。
するとライトが付き、お客さんの顔が見える。

「みなさんこんばんわ!松田里奈です!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「うわぁあああ緊張したぁあああ!!!」
『里奈ちゃんお疲れ!』
『まじで良かった』
「お客さんの反応見れた?」
「緊張してそれどころじゃなかった」
「みんないい反応してたよ」
「そっか.....」

楽屋に戻るとみんな暖かい言葉を掛けてくれた。
そこへ鈴木さんが来る。

「みんなお疲れ様」
「お疲れです!」
「里奈ちゃん、すごく良くなってた」
「ほんとですか!!」
「あの曲もしかしてこの前の高校生が編曲したの?」
「そうです!」
「やっぱり.....今日その子は?」
「今日は都合が合わなくて」
「そっか.....佐藤くんもちゃんと見る目があるわね」
「ありがとうございます」
「それでね、今度12月にまたライブイベントがあって次は1,000人規模でやるの」
「1,000人!?」

今日の10倍の規模.....。

「それに出てみない?」
「.....良いんですか?」
「佐藤くんたちは大丈夫だろうけど、里奈ちゃんの方も流石に4ヶ月あれば仕上がるでしょう?」
「.....分かりました!」
「彼と連絡がついたら私に連絡頂戴。一応9月後半くらいまでは待てるから」
「分かりました!」
「じゃあみんなよろしくね」
「はい!お願いします!」

鈴木さんが部屋を後にした楽屋は大盛り上がりだった。

『1,000人とかやばくね!?』
『やばい吐き気してきた』
『指動くかなぁ.....』
「里奈良かったじゃん」
「でもまだ結冬くんの予定とか分かんないから」
「今連絡してみたら?」
「うん、そうする」

結冬くんに電話を掛けたらすぐ出てくれた。

[もしもし結冬くん?]
[もしもし]
[今、大丈夫?]
[大丈夫ですよ、どうしました?]
[12月にFind record主催のライブイベントがあるらしくて、参加出来そうなんだけど.....]
[えぇ!?]
[参加してみる?]
[えっと...ちょっと待ってくださいね.....笑]
[うん、私もまだ整理できてなくて笑]
[あ、でも.....]
[でも?]
[夏休みに泊まり込みのバイトがあるんで、その間練習できなさそうなんです.....]
[お〜う.....まじか]
[それっていつまで返事待ってもらえるやつですか?]
[9月後半!]
[9月後半.....バイトが大体2週間なのでそれまでに何回か練習できそうですね]
[じゃあそれ次第で決める?]
[それでも大丈夫ですか?]
[分かった!]
[すみません、こっちの都合で.....]
[ううん!気にしないで!]
[ありがとうございます]
[じゃあ終わる時また連絡するね!]
[はい!]
[お疲れ様〜]
[お疲れ様です!]

「どうだった?」
「一応前向きではあるっぽい」
「そっか」
『湊音、飲み行こうぜ〜』
『里奈ちゃんも来なよ』
「いいの?」
『もち、うちら戦友じゃん』
「行こうぜ、里奈」
「分かった!」

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