Harry delusion【第二部・1話】
浩二はとある街に来ていた。
先日から、犯罪者や指名手配犯が遺体となって発見されている街である。
駅を降りると、少し背の高いビルや駅ビルの雑踏が耳をついた。
駅の各所には見慣れた顔が掲載された書面が貼られている。
…お前は一体何がしたかったんだ?
浩二はその書面に問いかけると、役所のある一角へと足を向けた。
例外はあるが、役所の周辺には警察署がある。
浩二は警察署へ入っていった。
が、浩二はものの数分でそこを後にする。
警察署に情報の期待はしていなかった。
自分も警察官だったからわかるが、現在起きている事件の情報などを民間に漏らすわけはないのである。
それに、目的の人物も特に見当たらなかった。
浩二は次に、新聞社を訪ねた。
「事件担当の記者は今どちらにいらっしゃいますか?お伝えしたいことがございまして。」
「あぁ、確か今なら戻っているはずですよ。お手数ですけど、二階のエレベーターホール前でお待ちください。こちらからは連絡を入れておきますので。」
緩い場所で助かった。
浩二はそう思った。
浩二が2階に上がって数分待つと、井上という男が挨拶する。
井上は浩二を個室に案内すると、向かい合わせに座った。
「えーっと、竹久さんでしたよね?本日はどのようなご用件で?」
浩二は静かに口を開いた。
「凶悪犯の死亡事件について、お聞きしたいことがあります。」
二人の空間に静寂が訪れた。
【2話へ続く。】↓
Harry delusion【第二部・2話】|高峰 由樹路 @AtW2igUeBGW4SVY #note https://note.com/yukiji8120/n/n03cd917b6a0c
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