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こころの羽織物
今日、少し前にコラージュの為に段ボールを頂いた靴屋さんにお礼と進捗を伝えてきたの。
相手の心はわからないけれど、とてもにこにこ笑って嬉しそうなお顔を僕に見せてくれて、
僕も嬉しくなったの。
そんなことを考えてたら昔立ち飲み屋で泣いてくれたお爺さんのことを思い出したので、
そのお話を今日は書きます。
そのお爺さんは連れのお婆さんと仲良くビールを飲む素敵な方でした。
隣で僕はタバコを巻いて火をつけると、
「いい趣味だね。」と声をかけてくれたことが始まりです。
瓶ビールを何本か空けさせてもらった頃、
お話は「人と関わる意味」に変わっていました。
そこで僕は、こう話しました。
「僕は二人と話せて嬉しいよ。
お爺さんとお婆さん、そして僕、三人で今お話をしているけれど、人は一人で生きる為に、人と話すんだと思うんだ。
こころはみんな一つの色を染まったものを貰っていて、その心を寒さや日差しから守る為に羽織も一つ神さまからもらっているように感じる。
その羽織物、生まれたては純白だよ?みんな。
でも、先ずはお父さんとお母さんからその人のこころの色を羽織物に染めてもらう、もちろん僕の色もね、二人にあげるよ。その色の数だけ心が安心して強くなるから。
それは生きていくうちに出会った人の数だけ色が増えて、こころの支えになる。
いっぱいの人と出会ったよ?
そして二人と出会った、二人は僕の目上だから先にいくよね?
でもあなたたちの色を僕のために残してくれた。
僕の為に残ってくれる。
今日だってさよならも怖くない。
あなたたちがこころの羽織物を染めてくれたから。
ありがとう。」と。
そしたらお爺さんは僕の為に泣いてくれたんだ。
「いい歳の爺さんを泣かせて、君は素敵だ。」と言いながら。
僕の羽織物はそれからもたくさんの色が混ざって
美しい。
そして染めてくれた人の為に生きる。