2021年の100冊 #13 「死にぞこないの青」(乙一)
乙一って作家さんをご存知ですか?
手脚を切り取られて袋に入ったまましゃべる女の子が出てきたり、身体をひっくり返して内臓が外側にくっついてる人が出てきたり、すげーグロい小説書く人です。小学生のときに、ませた同級生に教えてもらって結構読みました。人格形成に影響がないか心配になりますね。
2021年の100冊、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始。ログはスマホで15分で書き上げることを目標にしています。
13冊目は、こちら!
たぶんその小学生のときに読んでいるはずだけど、何年かぶりに乙一読みました。
手にとった理由は主人公が「青」という名前の文章を書きたいと思っているからで、「青」で思い出す小説のひとつです。(もう一つは村上龍の『限りなく透明に近いブルー』。)
死にぞこないの青
いじめは起きません。でも、それ以上に主人公を蝕む先生とクラスメイトたち。主人公は、社会科で習った「えた・非人」を自分と重ね合わせ、自分はクラスのバランスを保つための「最下層」であると感じながら過ごします。そんな中、自分の心の内面を表したような醜い男の子が”幻覚”として主人公の前に現れます。
そいつが、アオ。
(グロい表現が苦手な方はここでそっと最後までスクロールしてください。)
顔が青いというのは、病気で顔色が悪いというのではなかった。文字通り肌が真っ青だったのだ。まるで絵の具でぬりたくられたようである。縦横に傷跡が走り、それはナイフで切られたようだった。
片耳と頭髪がなかった。だれかにそぎ落とされたようである。(中略)
右目はふさがっていた。どうやらまぶたを接着剤でくっつけられているに違いなかった。(中略)
唇に紐が通されていた。(中略)
上半身にはおかしな服を着せられていた。(中略)
下は、ブリーフだけである。二本の、あきらかに栄養が足りない干からびた細い足で、よろよろと地面に立っていた。(p.57 - 58)
エンタメとして、お読みください。
著者あとがきの弁明
これまでのグロさの描写とはあまり関係ありませんが、印象に残ったのは著者のあとがき。
そういえば、作中で主人公がおよそ子供らしくない語句を用いて思考していますが、その点についてツッコミを入れられたらどうしようかと思っています。僕は基本的に、語り手の年齢が低くてもあまり気にせず地の文ではさまざまな言葉を使用しています。それは、「言葉」そのものは幼いために知らなくても、その「言葉」が意味するものは名付けられないまま頭の中に収まっていて思考しているにちがいないと受け止めているからです。
ふんふん、なんかわかる気がしますよね。
でも、本当にそうだったのか、胸に手を当てて一瞬考えてはみたい。大人になりすぎた私たちは、子どものときの思考をどれほどわかっているのだろうか?
どうですか?
まぁどうだったとしてもそれは、この小説の巧拙に関わるものではなく、言いたかったのは乙一氏のこれが、弁明の文章としてとても好きだということです。
普段と変わったミステリー小説にトライしてみたい人におすすめです。乙一の他の本でもいいです。
ちなみに今日は青い本をもう一冊読みました!
(noteログ約25分)