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2021年の100冊 #15 「雪国」(川端康成)

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

書き出しが有名すぎるこの小説。読んでみようと思ったことはありますか?

「雪国」とは新潟の湯沢のあたりだそうです。

2021年の100冊、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始。ログはスマホで15分で書き上げることを目標にしています。

15冊目はこちら。

「それから」からの「雪国」

読もうと思ったきっかけは、先週夏目漱石の「それから」を読んだからです。今まで億劫で敬遠していたのですが、他の有名な日本文学も読んでみようと思い立ちました。

時代のせいか、作風のせいか、作品の長さのせいかはわかりませんが、夏目漱石よりはだいぶ読みやすかったです。

で、というか、なのに、というか、結論ぜんぜんよくわからなかったです。

こいつなんで最後こーなったん?と、ググる。ふーん、まぁそういうことか。

解説を読んで、なんだか自分のことを心配になる。

「”雪国”はおそらく川端の傑作であろう」とか書いてある。
「ことばのほんのわずかな違いが、これほど多くのものを暗示している小説を、私は他に知らない」とか、「私はこの小説に、まず、日本語の美しさというものを誇りたい」とか書いてある。

なんせこの作家は、何カ国語にも翻訳されてノーベル文学賞もとっている。けど、「そこまで?!」みたいな読後感。

まぁいいじゃないの。とも思うけど、冊数とかいいから、もっと真剣に小説と向き合わなくてはいけないんだろうなぁ、とぼんやり思う。それこそ写経をしてみるといいのかもしれない。

好みの問題だろうけれども、わかるわからない以前に「好き」かどうかでいうと、夏目漱石のほうが好きでした。

その理由として気づいたことは、夏目漱石の作品は心理描写がものすごく繊細で可笑しくなってしまうほどなのに対して、川端康成の『雪国』(しか知らない)は風景描写が緻密であるということ。そして風景になんらかの意味が含まれていたり、伏線となっていたりという言葉の使い方をしているので、おそらく「ぱっと良さがわかりづらい」んだと思います。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった

雪国。ここで改めて一言で説明すると、東京の妻子持ちが新潟の温泉街で芸者と仲良くなり、年に1度のペースで会ううちに女性のほうがはまり込んでしまいさてこの後どうなる、という話です。

魅力的なのは女性「駒子」の奔放でまっすぐな性格。主人公の「島村」の冷静で受け身な姿勢に腹立たしくなるほどです。自分は安定した家庭を持っているのに、女をこんなに待たせたり見送って苦しい思いをさせたりして。もう。

駒子のすべてが島村に通じて来るのに、島村のなにも駒子には通じていそうにない。(p.157)

この一文が関係性のすべてを表している気がします。

離れられないからでも別れないともでもないが、駒子のしげしげ会いにくるのを待つ癖になってしまっていた。
(中略)
駒子が虚しい壁に突き当たるこだまに似た音を、島村は自分の胸のそこに雪が振りつむように聞いた。このような島村のわがままはいつまでも続けられるものではなかった。

・・・みたいなね。

夏目漱石の「それから」も30歳ニートが不倫する話だったし、村上春樹の「ノルウェイの森」でも気づいたら主人公は浮気しているし、古典的名著は社会的モラルよりも生物学的カオスをよしとするようです。

これは原則の発見だな。

そんなことを書いていたらこんなものを見つけたので、次の名著はここから探そうと思います。彼も「日本屈指の変態作家といえば川端康成でしょ!」と選出されてますね。

川端康成について

川端康成とは教科書以来はじめての個人的な接触なので、ちょっと調べちゃいました。

1899年(明治32年)生 - 1972年没。大正から昭和にかけて活躍した日本近現代文学の頂点に立つ作家のひとりである。とWikipediaに紹介されています。

夏目漱石よりはもう少し後の人で、結構最近の人ですね。

教科書に載っていた人がいつの時代の人だったかなんて、国語の期末テスト前に覚えたであろうくらいで、認識までしてないですよね。(ね?)

わたしは地元が神奈川の逗子なのですが、川端康成は逗子で自殺したと母に聞いたことがありました。「作家が逗子で自殺」と聞くと、海にでも身を投げたのかと勝手に20年くらい想像していたのですが、単純に逗子に仕事用の部屋を持っていたそうです。Wikipediaにも載ってました。

1972年(昭和47年) 4月16日の夜、逗子マリーナのマンションの仕事部屋でガス自殺。長さ1.5メートルのガス管を咥え絶命しているところを発見される。72歳で永眠。(Wikipedia

逗子マリーナのマンションが建ち並ぶ中を、今日ちょうどランニング行ってました。

でも悪いことだけではなく。

住み込みのお手伝い・松林秀子と初めて会い、その夏に逗子の海に誘った。Wikipedia

なんと川端康成とのちの奥様の初デート場所だったのですね。

また川端康成は、ノーベル文学賞が1901年に創設されて以来初の日本人受賞者で、そのあと続くのは大江健三郎とカズオ・イシグロ(正確にはイギリス人)。”日本の教科書に載っている”だけでなく世界的にも高く評価された人です。

夏目漱石とまた比べてしまいますが、漱石は1916年に亡くなっているので、ノーベル文学賞候補になるには世界が追いついてなかったのかもしれないですねw
そのかわり漱石は千円札になってます(そのかわりにはなってないか)。

「雪国」の良さがぱっとわからなかったように、まだまだ小説の世界を知らないことがわかったので、これからも読みあさっていこうと思います。

(noteログ 1時間15分)

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