2021年の100冊 #20 「ねじまき鳥クロニクル 第一部 泥棒かささぎ編」(村上春樹)
三部構成の小説を、一部しか持ってこなかったけど、意外と後悔してません。面白くなかったのではなく、面白かったからなのですが、どなたかこの気持ちわかりますか。
2021年の100冊、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始。ログはスマホで15分で書き上げることを目標にしています。
2月13日、20冊目はこちら。
ねじまき鳥クロニクル
村上春樹が好き、好きと言いながらまだ全部読んだわけではなく。特に初期のちょっとファンタジックなイメージのある物語は勝手な食わず嫌いであまり読んでいません。
だけど誰かに村上春樹の話をしたとき、「ねじまき鳥クロニクル」がいちばんだったと言われました。誰だったかは忘れてしまったけど。ごめんなさい。歳上の男性だった気がします。
で、誰かのいちばんなら読もう、と思って買ったのがこれです。
好き好き言ってて、また同じ話なのだけど、「1Q84」も完読してません。何かがどんどん起こっていくエンタメ的村上春樹ではなく、特に何も起こらないけど主人公が悩んだり恋したり女の子とワインを飲んだり夢を見たりしている文章が好きなだけなのです。
「ねじまき鳥クロニクル」は、エンタメ的村上春樹と純文学的村上春樹がきちんと織り混ざって物事が進んでいく。個人的嗜好としては、特に物事は進まなくても良いのだけど、物事は進んでいきます。
前半で井戸に落っこちて”死なない”話が出てきます。井戸に落ちて、ちょっと怪我だけして、真っ暗な中で”死なない”のがどんなにぞっとするか、という会話。「ノルウェイの森」の冒頭と一緒です。
そして途中でちょっと驚いたのは、まるで「永遠のゼロ」か「戦場の生存術」でも読んでいるかのように詳細で臨場感のある戦争の話が出てくることです。まるで自分がモンゴルとロシアの国境を超えた場所で息をひそめているかのように、村上春樹の小説を読んでいることを忘れます。
井戸のぞっとする話も出てきます。でもその前にもっとぞっとする話も出てきます。一体村上春樹がどうしてそんなことを思いついたのか。書こうと思ったのか、まるでよく慣れ親しんでいたクラスメイトの冷静でサディスティックな一面を見てしまったようであります。
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そして<第一部>は井戸と戦争の話のところでだいたい終わります。
終わるだけならいいんですが、今書きながらバングラデシュにいます。
先程書いたように、私は「1Q84」も完読してません。だからあまり期待せず、<第一部>しか持ってきませんでした。というか<第一部>を読み終えた後に<第二部>がないことを後悔するくらいハマりますように、というひねくれた願いもこもっていたと思います。
そしてやっぱりというか、意外とというか、あぁあと思っているのだけど、面白かったです。<第二部>と<第三部>を買わずに、持ってこなかったことを少しは後悔しています。でも、面白くてよかった、という想いのほうが強いです。
小説はKindleで買わないと思うので、続きが読めるのはバングラデシュ出張が終わる1ヶ月後。中途半端な興奮は、ここでぶつりと断ち切って、1ヶ月後のお楽しみとしたいと思います。
読んだ人、このへんなこだわり、共感できる人いたら感想教えてください。