読書記録|LISTEN - 知性豊かで創造力が豊かな人間になれる
手に取ったきっかけ
コロナ以降仕事はフルリモートとなり、隙間を埋めるように設定されるオンラインミーティングは雑談もほぼされないまま開始・終了。仕事以外の時間も、ジムやコンビニに行く以外はもっぱら家に引きこもっており、人との交流はスタッフと軽く会釈する程度。日常の生活の中で“雑談”をする機会がほとんど無くなった。
それがゆえ、社内外のメンバーとプロジェクト以外の話をするときだけでなく休日に親しい友人と会うときでさえ、各段にコミュニケーション能力が落ちたなと感じる機会が増えた。
コミュニケーションが苦手というコンプレックスは学生時代から抱えていたため、これまでも「伝え方」に関するHow to本に目を通したりすることもあったが、結局拠り所となるような決定的に自分を変えられるアドバイスには出会ったことがなかった。
そんなときに「伝える」ことではなく「聴く」ことにフォーカスをあてたこの本のことを知り、伝え方とは別のアプローチで少しでもコミュニケーションに対する心理的ハードルが下がればと思い手に取ることにした。
学びと今後意識したいこと
指摘されると当たり前のように感じるが、普段のコミュニケーションの中で無意識にやってしまいがちなことがいくつか挙げられていたので、自戒の意味も込めて書き記しておきたい。
親しい人こそ先入観を取っ払って話をきく
親しいからこそ相手の価値観や思考を理解できていると思ってしまいがちだが、実際はそうでもなく、先入観がないがゆえに知らない人同士のコミュニケーションほうが相手の発言意図を的確に推測できるということもあるらしい。
自分自身がそうであるように、日常生活の中で軸を揺るがすような出来事を経験すれば思考は変わる。いつまでも相手が昔のままの価値観や思考を持っていると思い込んでコミュニケーションをしてしまわないよう、その瞬間の相手の状況に身をおき先入観をとっぱらった状態で話を聴くように注意したい。
相手が話している最中は次の一手に気を取られすぎない
自身も特に仕事のシーンでやってしまいがちだな...と反省したが、相手が話している最中に次の自分の一言目で何を言ったらよいかに気が取られすぎてしまうことで、相手の想いや発言の意図を汲み取れきれず、結果的に相手からの信頼を失ってしまうことのもったいなさについて言及があった。
個人的にこれまでは、すぐに相手の発言に対して打ち返せること=知識や自信があることの表れ、であり相手への心象が良いと考えており、相手の話に耳を傾けながらも必死に次の一言を考えていたが、かえって事態を悪化させていたのではないかとハッとさせられた。
本の一節にもあるように、“自分が完璧であるように見せる”ことよりも、相手の意見・考えを汲み取るような相手ファーストのコミュニケーションを心がけたい。
自分語り欲を抑える
友人の相談事に乗っている時にも、アドバイスから一歩踏み込んで自分の似たような経験について話しているうちに相手の話を乗っ取ってしまったり、逆に相談に乗ってもらっていたはずが相手の話を延々と聞かされる羽目に陥ったりしたことは誰にでもある経験なのではないだろうか。
このようなコミュニケーションは、人と繋がるチャンスを潰す「会話におけるナルシシズム」の表れとしてこの本のなかでは“ずらす対応”と紹介されており、いかに相手の話からずらさずに真正面から相手を受け止められるかがコミュニケーションの鍵だと説かれている。
自分語りをせず相手を受け止めるようなコミュニケーションをする人は、久しぶりに会った時にも過去に話した他愛もないを覚えていてくれたり、話の引き出しが多く相談事に対してもいろんな角度からアドバイスをくれるように思う。
自身のこれまでのコミュニケーションを振り返るとまだまだ課題に感じる部分は多いけれど、まずは“受け止める”マインドセットを意識することを第一歩としたい。
巷に溢れているような、「結論ファーストで話しましょう」とか「先に論点の数とサマリーを伝えましょう」といったようなHow to本ではないが、本来のコミュニケーションのあるべき姿やそのためのマインドセットが説かれており、「聴く」ことを通して「話す」ことにもしっかり向き合うことができそうだと感じた。