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【ショートショート】山手線健康法

(659文字)

少子化対策の失敗を続け、いよいよ経済力の維持が難しい人口になった時、ついに政府は移民の受け入れを決断した。
治安の良い日本はたちまち人気となり、東南アジアを中心に、世界各国から移民が押し寄せた。
移民たちは少子化対策に貢献しすぎるほどたくさんの子供を産んだ。
そして2100年、ついに人口は30億人を超えた。
相変わらず人口は首都圏に集中していたので、たちまち鉄道などの公共交通機関は毎日、毎時間、客が乗り切れない事態に陥った。
特に山手線だ。
車両を一両、また一両と増やしたが、今度はホームの長さが足りない。
突貫工事で各駅のホームを一両分、また一両分と増やした。
そしてついに、山手線全駅のホームと、全車両が繋がった。
こうなるとスピードを出して走るわけにはいかない。
全部のドアを開けたまま、電車はゆっくりと動くようになった。
それはまるで長大な輪を描く動く歩道だった。
しかしそれでは次の駅に着くまでに時間がかかりすぎる。
乗客の要望により、ホームとは反対側の座席が全て取り払われ、急いでいる乗客はみな、座席が取り払われた側を走るようになった。
やがてほぼ全ての乗客が走るようになり、ついにホーム側の座席も取り払われ、山手線はトンネル状のマラソンコースと化した。
そして乗客たちは皆、肥満を解消し、健康的な体を手に入れることとなったのだ。

この功績を称え、東京駅の山手線ホームの真ん中には、春日三球・照代の銅像が建てられた。


※若い方、ごめんなさい。
おそらく、このオチはなんだか分からないかと思います。
分かるあなたは50代以上。
元ネタはこちら↓


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