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【日記】知らない人からの気になるメール

(1182文字)
ボク調べでは、画面にヒビが入ったままのスマホを使っている人って、男より女の方が多い。圧倒的に多い。不思議だ。どうでも良いけど。

ボクは同じメールアドレスをもう20年くらい使っている。
主に仕事用のメールアドレスなので変えることができない。久しぶりのお客さんから連絡が来ることもあるし、変えたら変えたでその連絡を各方面に出すのも面倒。
これだけ長く使っていると、何かの買い物の際に来るようになった広告メールやらメールマガジンが大量に来る。これもいちいち解除しにいくのが面倒。まず解除する場所を探すことが困難だったりするし。

詐欺メールもたくさん来る。最近はAmazonやらカード会社のメールを模したものが多い。詐欺メールの奴らも考えるよね、あの手、この手と。

このメールアドレスを使い始めた頃、知らない人からメールが届いたことがある。
誰だろうと思って読み進めていった。
相手は男性で、定年退職して数年というから60代の半ばだろう。最近パソコンを始めたので、メールを出してみたという。
「お元気ですか」そんな言葉で始まる、近況を報告する手紙のような内容だった。
ボクはこの人が誰なのかを特定する一文がないかと読み進めていった。知り合いなら返事を書かなければならない。

男性は2年前に奥さんを亡くしたという。んー、心当たりがない。
毎朝ひとりで朝食をつくり、向かいに奥さんが座っていないテーブルで食べる。なめこの味噌汁を飲みながら、そういえば女房も好きだったなと思うと寂しさが溢れてくる。
そんな描写に、ボクの脳裏には朝の光と雀の鳴き声とともに、その様子が映し出された。
ボクは純粋に、親しい人からの手紙として読み始めていた。
詳しくは覚えていないけど、一人暮らしの寂しさや、亡くした奥さんへの想いが綴られていて切なくなった。
それでも誰かはわからない。
そして彼はパソコンを買った。確か、年賀状をパソコンでつくりたいと思ったということだった。
パソコン教室に通い、クリックという言葉さえ分からない自分に、若い女性の先生が優しく丁寧に教えてくれたという。
そうしてパソコンを使ってインターネットを楽しんだり、こうしてメールを出したりできるようになりました、と。
おお、良かったなとボクは思った。彼の笑顔が見えるようだった。
ここまで、おそらく1000文字は超え、2000文字くらいはいっていたと思う。
すっかり引き込まれていた。
彼の手紙はさらに続く。
「そんな私でも、インターネットを通じて素敵な女性と知り合うことができました」
おお、なんだなんだ?急展開だな。

「女性との出会いはこちら!信頼と実績の○○へ!」

出会い系のスパムメールかよ!

すっかり読んじゃいました。
あれはなかなかの文章だったと思う。
スパムメールを書かせておくには惜しい。
なんであの文才を別な方向に使わないんだろうなぁと思った。

仕事に気が入らないとこんなことばかり思い出す。


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