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【毎週ショートショートnote】半分ろうそく
あれは38歳の時。
気がつくと私は真っ暗な部屋にいた。
部屋にはろうそくの火が灯っていた。
そこには私の名前が書いてあり、その太さから、半分くらいまで燃えたところのように見えた。
じっとそうそくの炎を見ていると、今までの人生が思い浮かんでくる。
私はたくさんの人を欺いてきた。
この世の中は奪い合いだ。奪われる方が悪い。
しかし、ろうそくの炎を見つめていると、どうにもならないほど強い後悔の気持ちが溢れ出した。
気がつくと私は家のリビングにいた。
夢だったのか?
あれから38年。
私は真っ暗な部屋で残りわずかになったろうそくの炎を見つめている。
まもなく人生が終わるのだ。
後悔はない。
あれから私は、それまでの悪事を償うように生きてきた。
目の前の人のために何ができるか、そう考えて生きてきた。
あの時、半分ろうそくの炎を見つめていなかったら、あのまま人から奪う人生を過ごしていただろう。
人生の半分で現れる半分ろうそく。
あなたにも現れるかもしれない。
411文字
たはらかにさんのお題に参加させて頂きました。