![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119258042/rectangle_large_type_2_749f44ac173366e53b030f88ced9cba7.jpg?width=1200)
【日記】自尊心という山に登る
以前、タモリがこんなことを言っていた。
何かを好きになって、その道を進んでいくと、必ずこれは敵わないという奴がいる。だからそのジャンルを諦めて、また別の好きなことを見つけると、また敵わない奴がいる。
つまり、そうしていろいろなジャンルに首を突っ込んでいるうちに、今の「博学」になったわけですよね。
結果的に誰もが認める博学なタレントとしての地位を築いている。
タモリ倶楽部なんて、タモリじゃなきゃできない番組だったもんな。
敵わない奴がいるから別の道に行くというのは、プライドが高いとも言えるけど、自尊心を守っているとも言えると思う。
逃げてると言う人もいるかもしれないけど、スポーツで頂点を目指しているわけじゃないしね。
自尊心が低くて悩んでいるなんて話を聞いたりする。
難しい問題ですよね。
生い立ちでそうなった人が多いし。
ボクはといえば、高いとも低いとも言えないかな。
でもそれを維持するためのことはしているつもり。
そのひとつが、人がいかないルートを歩く登山だったりします。
実は先週末もそんな山登りをしてきた。
場所は朝日連峰にある茶畑山。ここには登山道がない。
その昔、上杉家の直江兼続が指揮をして、この山形県の朝日連峰に「朝日軍道」が拓かれた。
これはどういうことかと言うと、秀吉の時代、上杉家は米沢が領地だったんだけど、庄内(今の鶴岡市)に飛び地を持っていたわけです。
この領地を行き来するには、最上義光の領地を通らなければんらない。
折しも徳川が力を強めてきていて、最上とは敵対しそう。それではいざという時に最上領を通るわけにはいかない。
「じゃ、山の中を歩いちゃえば良いんじゃね?」
とかなんとか直江兼続が言い出して、標高1800mを超える大朝日岳をはじめとしたこの朝日連峰に道が拓かれたわけです。
50km以上になるのかな。今の登山道のように、山脈の尾根に沿って道が作られたわけですよ。とんでもないことですよ。どれくらいの人が関わったんだろう?
そして一度だけ関ヶ原の前に使われたようだけど、その後は廃道になって今や自然に還っている。
現在の朝日連峰にはあちこちに登山道があるけど、この茶畑山にはない。
そこで、藪の尾根を歩いて、茶畑山に達し、そこから一泊で朝日軍道があった三角峰までのルートを歩いてみようと思ったわけです。
残雪期に歩いたレポートはネットでもいくつか出てくるけど、雪のないシーズンに歩いたレポートはない。ない理由は歩いてみて分かった。
とんでもない藪でした(笑)
スタートから5〜600m、標高差300mのあたりに雨量観測所があって、そこまではしっかりとした道がある。かなりな急登だけど。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119258197/picture_pc_45e7cc800b25756134b6a5d40288daf3.jpg?width=1200)
そしてそこから山頂までの3kmは道がない藪。
ひたすらかき分け、潜り、枝を渡り、少しずつ進んでいく。
結果的に、入山から山頂到着まで9時間半。時速360mくらい(笑)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119258363/picture_pc_dd130eaf739cbfe0257e575d2dbca501.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119258618/picture_pc_81c6d7d33d188e6f6e6475235eef3e78.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119258712/picture_pc_6cb07d9f419e0156c486a6ff420b52ed.jpg?width=1200)
すでに15:30を過ぎ、この先に進んでも、翌日に登山道まで抜けられない可能性が高いので、少し戻ったところの池塘(池のようなもの)の脇の小さな草原でテントを張って泊まり、翌日は来た藪の尾根を再び歩いて下山した。
まぁ、つまり撤退です。敗退とも言うか。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119258436/picture_pc_8ca79f95f0a04429fd9f18e5ba7b9908.jpg?width=1200)
でも満足です。朝日軍道は歩けなかったけど、あの藪を歩いて茶畑山にはたどり着いた。
辿り着けなかったとしてもまずは満足。
藪の中、全身運動でどんどん減っていく体力、刻一刻と迫る夕暮れ、この先の状況予想、さまざまな要素を踏まえて決断した撤退。
頭も体もフル回転させて、無事に戻ってこられたことは、自分で自分に「頑張ったな」と言ってやれることだった。
まぁ、このままでは終われないけどね。来年は別ルートでリベンジかな。
先週の和賀岳周回もそうだったけど、自分で自分に「頑張ったな」と言ってやれることをすることが、ボクの自尊心を保つひとつの方法。
誰とも比べられない場所でひとり頑張る。
誰にも共感されないだろうし、理解もされないかもしれない。
それでも良い。
自分で自分を認めてあげられることが大切だと思う。
ボクはこんな訳のわからない登山をやっているけど、考えてみると登山ってそういう意味で良いと思う。
最初は1000mにも満たない地元の里山から初めても、最初なら苦しいと思う。
しかし楽しさも知って、もっと高い山に登りたいと思う。
そのうち、きついと言われている山を目標にして頑張りだす。
Aに登れたからBに登れるかも。次はCも行けるかも。
そうやってひとつひとつクリアして、体力もついて、いろいろなことも学習する。
成人してから、特に中高年になってから、仕事以外で頑張れることなんてそう多くはないかもしれない。
登山じゃなくても、自分で自分を認めてあげられることを頑張れれば、それが自尊心に繋がるんだろうね。