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FC町田ゼルビア2025 五人の滾る野心

「これ以上の選手の質を求めるとなれば、多くのライバルクラブと競合するフェーズに入ってきたことは事実だと思います」

原靖

1月8日(水)、新体制発表会を終えたあと、原靖フットボールダイレクターが報道陣から今冬の編成の振り返りを求められるとそう答えた。町田はチームを強化するために新たなフェーズに入っていた。

「町田は代表選手が募っていることはすごく大きい。それから望月や平河、藤尾など、若い選手が注目されやすいクラブという印象も選手たちは持っている。その中でここから一つ上に上がっていこう、J1ですでに実績があるけれどもう一つ自分の価値を上げたいという選手たちとよく話ができた」

原靖

昨季の躍進を経て、町田には実力やキャリアがあり、自分の価値をさらに高めたい野心のある選手が集まる環境になってきていた。

そしてこの冬、そんな町田に集ってきたのが岡村大八、菊池流帆、中村帆高、前寛之、西村拓真の五人。

いずれもJ1で十分なキャリアを築いてきた実力者である。そんな男たちが、どんな野心を秘め、なにを求めて町田の地へ足を踏み入れたのかーー。

2025シーズン始動日の囲み取材で残した五人の言葉からその胸中に滾る(たぎる)野心を紐解いた。


岡村大八「それは手に届く位置にあると思う」

北海道コンサドーレ札幌から決意を持って加入した岡村大八

「『5位以内、ACL出場権獲得』というチームの目標に、自分の力で上げていくことが大事だと思いますし、なにかしらのタイトルは必要だと思います。そのために僕はここに来たと思っています」

岡村大八

岡村大八は町田で成し遂げたいことを聞かれると、間髪入れずにそう答えた。分厚い体躯を生かしてハイボールを跳ね返し、強烈なタックルでボールを刈り取る。そのJ1最強クラスの守備力でチームの屋台骨となり、札幌を4シーズンにわたって支えてきた。

岡村は間違いなく町田を一段上のレベルに引き上げ、要となれる守備者である。そして、原FDが話すようにここで自分の価値を高め、もう一つ高みへと登りたい選手だった。

岡村は決してエリートではない。高校は名門・前橋育英でプレーするも渡邊凌磨、鈴木徳真ら同年代のスターの影に隠れ、3年時の高校サッカー選手権はスタンドで見守った。

当然、高卒でプロとはいかず、立正大学へ進学。関東大学リーグ2部で名を上げると、2019年にJ3ザスパクサツ群馬へ入団。JFLのテゲバジャーロ宮崎へのレンタルを経てJ2群馬でブレイクし、2021年にJ1北海道コンサドーレ札幌へステップアップ。J3、JFL、J2と経験し、J1まで登りつめた叩き上げだ。

ここまで成長を止めず、一歩一歩、地道に歩んできた。さらなる成長のため、岡村が求める環境が町田にはあった。

「普段から代表クラスの選手たちとやれるのは、今までにない経験なので、学べることがすごく多いと思います。それは自分にとってすごくアドバンテージがあるので、日々吸収しながら自分のさらなる成長のためにやっていければいいと思います」

岡村大八

そして、心のクラブとして愛した札幌を離れてでも辿り着きたい場所があった。岡村はそれを明確に意識する。

「やっぱり、サッカー選手をやっている以上、そこは目指すべきところだと思いますし、それは手が届く位置にあると思うので。チームも変わって、色も変わって、いろんなこと、新たなことを吸収して日本代表を目指してやっていきたいですね」

岡村大八

町田でプロキャリア初のタイトルを獲得し、日の丸を背負う。今季、その野心が岡村をどこまでも突き動かす。

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