初老のわたくし、老害なことを言ってみる
【親方の老害日記】
ウチには、教えて下さい!弟子にして下さい!と言って来るヤング←(笑)が来ることがあるわけですが、彼らに
「〇〇した方が良いよ」と未来に向けてやった方が良いことをアドバイスすると、スルーされてしまうことが多いのです。
私は先達にそういうことを言われたら、本当はイマスグヤルベキ!ということをマイルドに言ってると思ってスグにやりましたが
ヤングの場合は「やった方が良い・・・じゃあ、別にやってもやらなくても良いんだな、オレには必要無いと思うからやらなくていいや。面倒だし」と、キャリアも技術も知識も無いのに自己判断して、先輩からアドバイスされたことをやらない。
しかも、ウチに弟子として入りたいという子がそういう態度。
「なんで、この前言ったことをやらないの?」と聞くと
「え?だって、やったほうが良いよ、ということだったので、自分はやらないで良いかなと思って」なんてシレっと返事したりする。
「なんで、やらないで良いと思ったの?」と問うと
「いや、何か、オレは、そういうことをやらないで良いと思ったんで・・・」
なんて言う。
実際には「オレ様ほどの高度な人間は、そんな地道なことはする必要はない。面倒だし」という意識なのです。それ以上の理由は無いんですね。
さらに、やらなければならない事ならヤレとハッキリ言ってくれれば良かったのに、そう言わなかった親方が悪い、ちゃんと指示して教えてくれないと分からない、オレは悪くない、という感じで、意見されたこと自体に不満そうな態度をします。
その様子を観て、ぷんすかする単細胞の老害親方のわたくしです。
いや、仕事ならヤレと指示を出すけど、これはあなたの日常生活で、創作人として習慣化しないと創作で生き続けるのは難しいよ、ということだから、まだ完全に内弟子認定していない人には「ヤレ」までは最初から言えないわけでね・・・
では、必ずやりなさい、と言ったことを、ちゃんとやるかといえば、そうでもない・・・
例えばウチの工房に入りたいという子に必ず出す課題=「自分のブログをつくって一日最低一つ記事を書くこと、一つではなく、一日に沢山上げても良いよ。SNSも積極的にやって下さい。それを観せてもらいます。また、そこで残ったものは、ウチの工房の構成員にならないとしても、今後のあなたのためになりますからね」と言うと
「最低一つ、という決まりはちゃんと守っているからこれで良いのだ」
とばかりに、毎日一つしかやらない。
しかも、やっつけ仕事にしか観えないような、ただ作業した感じの・・・ガンバっている体裁は出ているけども、実質はたいしてやってない感じの。「言われたことの最低ラインしかやらない」んですね。
まるで、学校の宿題を期日までに、どうにかまとめました、という感じがアリアリと感じるようなものを出して来るのね。
いや、ここは学校じゃないからね!と説明するのですが、しかし、それで平気でいられる根性は・・いや、根性ではなくて「そもそも何が問題なのか感じていない様子」です。丁寧に説明しても何を注意されているのか分からない様子。
俺サマは凄くがんばったのに、そのがんばりを評価せずに注意する親方の方が狭量でおかしい、という態度であったりします。
自分の創作のキャラクターを評価してもらい、それを購入していただき生きて行く生活をしたいなら、言いたいことがありすぎて困る、こんなに書いたらウザがられるかな・・・というぐらいに有り余ってないとダメよねえと思うのですがねえ・・・
さらに、若いのに一つ一つのものに対する粘りというか、狂信的な深度がなく「とりあえずまとめましたぁ」という感じに過ぎないものを自分の作品としてしまうほど自己評価が高いのにも感心します。自分がこれからその創作で生きて行きたい、というような粘りがなくて、美大の課題を提出する程度のことをして、それで充分だ、という態度・・・
そのようなヤングたちが憧れている、プロの人気漫画家や作家やアーティストは自身のSNSをかなり頻繁に更新しているのに、どうしてそういうヤングたちは、憧れの人たちのそういう面を真似をしないのかなあ、と思ふ。
本当に謙虚にそのアーチストたちを尊敬するなら「憧れの彼らがあれだけやっているんだから、オレなんてあの10倍やらないとダメだ!」となると思うんだけど全然そういうこともない。
だから、本当は、そういうヤングには別に言いたいことや、やりたいことは無いんですよね。
なんとなく、日の当たる業界で通用しなかったから、手作りの世界ならテキトーでもやって行けそう。オレ様なら、簡単っしょ、という感じで来るんですねえ。本当に、そういう子は多いんですねえ。
世の中に何か投じたいというボヤッとした思いはあっても、投げたいボールは実際には持っていないから、ボールの絵をサクッと描いてパラッと投げる。もちろん、それは絵に描いたボールだから、相手の胸には届かない。
もちろん、自分でボール自体を作り出すこともしない。それは一番大変だし、その苦労してつくったボール自体を、他人から貶されたり、スルーされたら傷ついてしまうしね。傷つきたくないから、逃げ回るし、本音を隠すし、自分のボールがどういう性質なのかも観察しないから自己把握も無い。
自分が一番大切にしている、突かれると一番痛いところを社会にさらけ出し、鍛え上げるのが創作で生きることなのですが・・・不格好なボールでも自分のボールを作って投げなければならないのですが。
まあ、資質と才能に恵まれている人の場合は、自分が作った覚えはないけども、自分の部屋にいろいろなボールがゴロゴロ転がっているから投げ放題ですけどね。ただし、ちゃんと世の中にストライクを投げるのには、観察と学習が必要です。
工房のこちら側のマネージメント的には、最近のヤング層には「これとこれを、いついつまでにやって下さい」と小さく分割して指示すると、その範囲だけはマイペースでちゃんとやってくれる、というパターンが多いので、そういう方向で行くしか無いんでしょうね。
しかし、それだと創作で世の中を渡っていけるような人材にはなれないわけで。職人の工房の、歯車にはなれますけども、優秀な歯車にはなれないし、番頭や親方にはなれない。
なのに、何の実績もなく、仕事場の空気を読んで手伝いが出来るわけでもなく、雑用の精度も甘い状態なのに、あの傲慢な「いや、自分は自分っスから」「いや、自分なりにやってますから」「いや、自分のペースがありますから」という、大物的なノリが染み付いたような態度なのね。そういうの、私には理解出来ない感じですね。
でも、美大で習ったらもう一人前だという認識があるのかな。私は美大に行ってないので知らんけど。
・・・という老害なことを良く思いますわ。
ウチに、弟子になりたい、創作で生きて行きたいなんて来る子の98%はそんな子でしたねえ。
まあ、でも、冷静に世の中を眺めてみれば、世代は関係なくそういうタイプの人はいる・・・中年以降でも沢山いるし、老人でもそういう人はいる。
・・・じゃあ、今どきのヤングの話じゃないじゃん。
・・・正に老害なこと言っているオレ。