小説「ムメイの花」 #30理論の花
朝の日課。
家の前に立つ。
右手には1本の花。
7時まであと5分というところ。
ムメイの花は普通なら5時に花開く。
僕が起床をして屋根に咲く花を見た時は
まだ蕾でくったりとしていた。
今朝はそんな蕾の花を右手に持っている。
右手の花に視線を向けていると
誰かの視線を感じた。
多分、チャーリーだろう。
顔を上げると視線の正体はデルタだった。
デルタが珍しくカメラを下ろし
僕をじっと見つめているではないか。
そして、誰かに話しかけられている。
デルタはその人をまった