
小林剛がなぜ好きか
顔が好きです。
それはさておき。
小林剛を知ったのは15年前である。
当時禁煙の雀荘は数少なかった、という理由だけで、上京した私は新宿の禁煙店まで出掛けていた。小林剛はその店にゲストプロとして勤務していた。今よりずっと精悍で、気難しそうに見え、容易に近付き難い雰囲気を纏っていた。
麻雀は機敏で非常に強かったと記憶しているが、それ以上に麻雀店員としての立ち居振る舞いが印象的であった。ゲストプロなので、正確に言えば、店員ではないはず。だけど、来店対応、トラブル対応、注文対応などを、どの店員よりも正確にこなしていた。打っている最中も、離れた卓の異変にいち早く気付き、声を掛けていた。麻雀のプロである以上に、麻雀店員のプロであると感じた。
だから、小林剛が表彰式前のビデオで発した言葉に説得力がある。「ここまで来られたのはひとつ一つの麻雀店が頑張ってきたからだ。」麻雀店の在り方、麻雀店員の在り方を追求し、実行してきた人。麻雀の普及と業界の発展を、理想論ではなく現場の側から、誰よりも願い、体現してきた人である。
強いプロはたくさんいる。そして、麻雀は個人競技である故にプレイヤーは自己実現を目的としがちである。だが、小林剛は業界の発展や育成に主眼を置いている点で、他のプロより一歩先に行っている。自身の活躍は二の次だと思っているのではないか。表彰式での挨拶。「皆さんのおかげでMリーグが楽しんでいただけるコンテンツになっている。」偽りのない本心だと思った。
現役として自ら真剣勝負を繰り広げる一方、客観的な視点から全体を見渡している。アプローチは机上の空論ではなく、現実的である。スケールの大きさに誠実さが同居している、その在り方こそが小林剛の魅力である。
一ファンの感想です。
ゆきがや