この世に生まれた記念日だから。

誕生日って、本当は産んでくれたお母さんに感謝を伝える日だと思う。

お母さんは、子供の誕生日がくるたび産んだ日のことを思い出すんだろう。幸せになってほしい、と強く思ったあの日のことを。何十年経っても。

とはいえ、誕生日は生まれてきた本人が主役の日でもあると思う。そして祝いたくなる。「今日は君が生まれた記念日だね」って。「またひとつ歳を重ねることができたね、おめでとう」って。

そんな日だからこそ、特別な一日にしてあげたいとも思う。

誕生日プレゼントを選ぶのもそうだけれど、やっぱりケーキを選ぶとき、すごくワクワクする。どのケーキにしようかとか、どんなキャンドルで飾ろうかとか、考えながら買っている時がとても楽しい。

まるで自分がプレゼントをもらうかのようだけれど、これは誰か大切な人のことを思っているからこそ楽しいんだろう。喜んでくれるかな？どんな顔するかな？なんて考えられること自体が、もう幸せだ。

＊ ＊ ＊

今日は彼の誕生日。

仕事を早めに切り上げて、ルンルンとケーキを買い、せっせと準備をして彼を待っていた。

…が、彼からの電話がすれ違いになったことでケンカになり、延々と怒られる始末。

結局、彼は来なかった。準備していたご飯もケーキもプレゼントも、楽しみだった私の気持ちも、全部自分のせいで台無しにしてしまった。

自分の愚かさを呪う、一人の夜。こんな夜が二度と来ないよう、反省会だ。

ユキガオ