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僕にとって大事なことなんていくつもないと思うんだ

私がELLEGARDEN(エルレガーデン)を初めて聴いたのは、高校一年生の冬。

当時、175Rというバンドにハマっていた私に「それならこれも好きだと思うよ」と先輩が勧めてくれたのがELLEGARDENだった。

先輩に借りたCDを聴いた感想は「これ、本当に日本人?」

あまりに流暢な英語の歌詞に、何度も耳を疑った。(その後、ボーカルが海外に住んでいたことを知る)

先輩の勧めは的確で、私はELLEGARDENが大好きになった。

イントロだけでテンションが上がるロックチューン、何度聴いても飽きのこないバラード…どちらも好きで、ファーストアルバムから全て聴いた。

早口でアップテンポな英語詞の曲も、カラオケで歌えるようになるほど聴き込んで練習した。

衝動買いしたギターの練習をするために「Missing」のスコアを買って拙く弾いた。

 * * *

ELLEGARDENのライブに初めて行ったのは、2007年2月。20歳のときだった。

mixiのコミュニティでチケットを譲ってもらい、エルレ好きの同級生と一緒にZepp Fukuokaへ向かった。

私にとって初めてのELLEGARDENであり、初めてのライブ参戦だった。

ツアーTシャツを買い、ライブ前にトイレで着替えて、熱気に満ちたライブハウスの前から3列目あたりで必死に飛んで汗だくになって、音楽と一体になって…

最高だった。

ELLEGARDENをさらに好きになった。

疲れ果てた帰りの高速バスでは、一緒に行った同級生の肩にもたれて眠った。

 * * *

それから私は、ライブに夢中になった。

RADWIMPS、ストレイテナー、凛として時雨、UNISON SQUARE GARDEN、dustbox、[Champagne](現[Alexandros])、THE NOVEMBERS…

他にも数多くのライブに行った。音楽フェスにも行った。筋肉痛は当たり前で、ライブ中に口の中を切ったりもした。

ライブの気持ちよさを知った。ライブで全てを洗い流した。

仕事の辛さも、社会の不条理さも、抑え込んでいた感情も、失恋も、ライブに行けば全て吹き飛んだ。

音楽はいつも私を救ってくれた。

全てはELLEGARDENから始まったのだ。

 * * *

2008年8月31日、TREASURE05Xという音楽フェスに参戦した。

これが、私が観た最後のELLEGARDENのライブ。

そのフェスが終わった直後のmixiの日記に、私はこう書いていた。

ELLEGARDENをライブで見るのはこれで最後。

私が初めて行ったライブがエルレのワンマンで
ライブの楽しさや気持ち良さを知って
余計に好きになって
もっとライブに行きたいと思った。

それが今は
こんなにも寂しい気持ちいっぱいで観てるなぁ
と、涙が止まりませんでした。

ライブ中の細美さんの笑顔も
観客を煽るパフォーマンスも
好きで好きで
幸せいっぱいもらったのに

こんなに素敵なライブをするバンドが
もう観れないなんてね…

悔いのないように
めいいっぱい笑って跳んで
もう涙も汗もいっしょくたになってた。

また会えることを願ってます。

私が音楽にハマるきっかけをくれたバンド。

あの4人が奏でるメロディが大好きで、切なくもエネルギー溢れる歌詞が大好きで、細美さんの熱い想いがこもったMCが大好きで、力強いライブパフォーマンスが大好きで…

寂しくて仕方なかった。なんで活動をやめちゃうんだ、と。もっと音楽を聴かせてよ、と。

 * * *

その後、ボーカルの細美さんが作ったバンド「The HIATUS」も好きになって、ライブにも行った。

だけど、ELLEGARDENのライブの空間は、やっぱりあの4人にしか作り出せないんだと改めて思った。

私はELLEGARDENが本当に好きだったんだ、と。

ちょっと青くさくて、未完成で、でもまっすぐで。

私が音楽にハマっていた時期は、10代後半から20代前半。それは、たくさんの変化があった時期だった。

たくさんの「初めて」を経験したし、たくさん傷ついたし、たくさん人を傷つけたし、たくさん悩んでたくさん泣いて何度も死にたいと思っては何度も音楽に救われてきた。そんな時期だった。

少し遅れてきた青春みたいなものだった。

だからELLEGARDENは私にとって青春そのものだったのだ。

 * * *

そんなELLEGARDENが復活するというニュースが飛び込んできた。

目を疑った。

鼓動が早まるのを感じた。

またあの4人のステージを観ることができる日が来るなんて…!!

ここまでに、10年という月日が流れた。熱狂的に聴いていたあの頃とは、もう違う。ELLEGARDENのメンバーも、私も、年を重ねた。

だけど今でも、あのメロディを聴いたらあの頃の気持ちがフラッシュバックするのだ。

今でも「スターフィッシュ」を聴くのは少し甘酸っぱい気持ちのときだし、「Lonesome」を聴けばやけに強がっていた弱い私を思い出すし、「風の日」を演奏していた友人のコピーバンドのステージが眼に浮かぶし、「Monster」を聴いては当時片思いしていた相手のことを思い出す。

こんなバンドは他にない。

私の大好きなバンド、ELLEGARDEN。

大好きで、大好きで…また彼らの音楽を聴くことができるかもしれないと考えただけで涙が止まらない。

ライブのチケットが当選しますようにとか、また目の前で彼らのパフォーマンスを観たいとか、色々と思うことはあるけれど、今言いたいことは一つ。

「おかえりなさい」

ELLEGARDEN、帰ってきてくれてありがとう。


ユキガオ

※タイトルは「金星」の歌詞より

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