こんな、朝時間の過ごし方。
部屋のカーテンの隙間から太陽の光が差し込む。夢と現実の間で朦朧としていた私の意識が、少しずつ引き戻されていく。
あったかい布団の中で「んっ」とひとつ伸びをすると、ようやく目が覚める。体を起こして靴下をはいた後、カーテンを開ける。思い切り、シャッと音を立てて開けるのが好きだ。一日の始まりの音。
その足でキッチンに向かう。お湯を沸かすためだ。電気ポッドではなく、あえてやかんを使っている。水を入れたやかんをコンロに置いて、つまみをカチッと回す。
お湯が沸くまでの間に顔を洗う。何年か前の誕生日に、友達からもらったジェラートピケのヘアバンドを使って、前髪を上げる。冷たい水が、頭をすっきりされてくれる。
やかんが音を立てて、沸いたことを知らせてくれた。火を止めて、ふと、今日着ていこうと思っていた服をクリーニングに出していたことに気付く。コーディネートを考え直さなくちゃ。
ペーパーフィルターをドリッパーにセットして、紙袋の中からコーヒー粉をスプーンですくう。これは最近見つけたコーヒー豆専門店で買ったものだ。雰囲気のいいお店で店長さんも親切だった。また買いに行こう。
沸いたばかりのお湯を、やかんからそのままドリッパーの中のコーヒー粉に注ぐ。ゆっくり、回すように。粉はお湯を含んで、ふわふわと泡立ち始める。私はずっとその様子を眺めている。そしてまたお湯を注ぎ、立ち上るその香ばしい匂いを胸いっぱいに吸い込むのだ。
* * *
そんな理想の朝時間。
現実は、日が昇る前に無理やり体を起こし、カーテンも開けないままバタバタと準備をする。時間の余裕は5分もないので、とにかく慌ただしい。そして半ば駈け出すように家を出ると、車に乗り込むのだ。
理想の朝時間だけれど、それは現実にできないものではない。今の生活を変えればいいだけだ。そのために私は今、少しずつ動いていたりする。
ユキガオ
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