大好きだったはずのハロウィン、最近ちょっと苦手です。
10月31日、日本中がお祭り騒ぎをするようになったのは、私がとっくに物心ついた頃だったように思う。
秋の空気が流れ始めた頃、世の中はハロウィンムード一色になる。カボチャにお化けのオーナメント、オレンジ色と黒のコントラスト、ハロウィン用のスイーツ…
もともとは海外の宗教的なイベントであり、主に子供が仮装して楽しむ日だ。地元にいた頃は、米軍基地にいる知り合いの家にお邪魔してハロウィンパーティーを楽しんだこともあった。
「Trick or treat!」と言って家々を回ってはお菓子をもらう。そんなイベントだ。
その経験があるせいか、近年の日本のハロウィン騒ぎはなんだか少し違うなぁと思ってしまう。悪くはないんだけれど、違和感を覚えるのだ。
だけど私がハロウィンを苦手に思うのには、もうひとつ理由がある。
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10月31日は、私の誕生日だ。
たまに10月は30日までしかないと思われることもあるけれど、ちゃんと毎年31日が存在する。母親が私を産んでくれ、それ以来毎年誰かしらに「おめでとう」と声をかけてもらえる日だ。
その日に向かってハロウィンムードで盛り上がっていく街中をよそ目に、私の気分は冷めてしまう。
「その日は、私の誕生日なのに」って。拗ねる子供のような気分になるのだ。みんな忘れないで、って。ハロウィン騒ぎに紛れて自分の特別な日がうやむやにされるんじゃないかと不安になるのだ。
誕生日なんて、たまたまこの世に生まれてきた日にすぎない。年齢がひとつ増えるにすぎない。「生まれてきておめでとう」というより、「産んでくれてありがとう」でしかない。
だけどそれでも特別なのだ。
みんなに平等にある祝日や年間行事と違って、自分にしかない特別な一日だから。
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みんなで仮装パーティーをして盛り上がったら、それはそれで楽しい一日になるんだろうと思う。いい思い出になるんだろうとも思う。
だけどなぜだろう。その日だけは、ワイワイと騒いで終わらせたくないのだ。一人で感傷に浸ってもいい。大切な人とイチゴのショートケーキでも食べて祝うでもいい。
とにかく、ハロウィンに紛れてしまいたくないのだ。私の周囲にだけ見えないバリアを張って、この一日を大切に大切に過ごしたいのだ。何もなくてもいい。ただ、心穏やかに過ごしたいのだ。
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やけに毒々しい色とやけにファンシーな色の新作ドリンクを提供するカフェで、そんなことを思う31歳ラストのひと月。
少し前に結婚したばかりの私はこの秋、心穏やかに大切な人との時間を少しだけでも過ごせればそれでいいなと思う。
一緒にケーキでも買って。
温かいコーヒーでも飲みながら。
なんでもないけれど、大切な一日を過ごしたいなと思う。
ユキガオ
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