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この世に何を残すのか、それとも残さないまま死ぬのか。

なんだか妙に心がざわざわする。

そんな日がある。ときどき、定期的に。

別に何かあったわけじゃない。何もなかったわけでもない。

そんな取るに足らないようなことで心かき乱されてざわざわして落ち着かなくなることがある。

フリーズする。一人の部屋で。頭の中だけがぐるぐるフル回転して。

誰も彼もが敵になったようで、親から離れた子供の動物みたいに必死で毛を逆立てて威嚇していないと身を守れないような気がして。

それでいて誰かのふとした言葉の温かさにやたらと感激して「生きててよかった」なんて大げさな言葉が浮かんで涙が出てきたりして。

 * * *

「素敵だなぁ」と思っていた人が離れていってしまったことが物悲しくて、かといってその人が私の近くにいてくれるような理由もないことを思い出して納得するんだけどやっぱり悲しくて。

とんでもなく凄い人を見て「私では到底達することのできない場所に登って世界を見つめているんだろうなぁ」と尊敬と畏怖の混じった感情でこっそりとその人の世界をのぞいて自尊心を失ったりして。

 * * *

「真面目」だったし「優等生」だったし「先生に気に入られるタイプ」だった。

でも「寝顔は可愛いのにね」と言われていたのは聞こえてたし「勉強だけはできるんだけどね」と言われて何も感じないわけがなかった。

自分の中途半端さに嫌気がさす。

何もできないわけじゃない。取り柄がないわけでもない。でも飛び抜けてすごいものなんて何も持っていない。

ものすごく嫌われるわけじゃない。でも誰かの「とくべつ」にはなれない。

 * * *

「人の一生は宇宙の歴史からみたらちっぽけなものだ」と、プラネタリウムに行くたび思う。

だから私はプラネタリウムが好きだ。

ちっぽけな自分であることを認められるから。ちっぽけであっていいんだと思えるから。

果てしない宇宙のほんの一瞬を生きる私たちの一生なんて、それこそ秒速で通り過ぎてしまうようなもの。

人間なんて所詮、地球という惑星に生まれて子孫を繋いでいくだけの生き物。ほんのちょっと脳みそが進化してしまっただけで、その脳みそも一瞬で消えるくらいの寿命しか持ち合わせていない。

だったら何をしてもいいんじゃないかと思える。

どんな人生を歩んでも、好きなことをしてもしなくても、失敗しても成功しても、誰かに嫌われて泣いても、誰かを好きになって泣いても。

逆に、何もしなくていいのかもしれない。

「人生の意味」なんて大義を掲げて挑戦してもしなくても、結局いつかは終わる人生。自分のDNAを残しても、残さなくても。

何かを成し遂げても、何も為すことができなくても。

 * * *

私はこの世に何を残すんだろう?それとも、何も残さずに去るんだろうか?

あなたはこの世に何を残しますか?何かを残したいですか?残さないままでいたいですか?

答えなんてきっと出ない。

そうやってどれほど頭の中で理論をこねくり回したところで、地球はまた朝を迎えて夜になるのだけれど。


written by. ユキガオ

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