簡単には終わらない、そんな関係がいい
フリーランスになってからよく聞くようになった言葉、というのはいくつかあって。
中でも人間関係については、このようなフレーズをよく耳にするようになった。
「自分のステージが変われば人間関係も変わる」
「周りの人間関係が自分を作る」
それはそうだな、と感じる部分もあって。私も似たような発言をしたことがある気がする。
でもこれってすごく寂しいよなぁ、と。
住む場所や、仕事、稼ぐ金額なんかが変わったくらいでなくなってしまう人間関係ってなんなんだろう、って。
人間関係って、いつからそんなに寂しいものになってしまったんだろう。
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転機が訪れるたび、私の人間関係は大きく変わった。
就職で地元を離れたとき、仲の良かった友人も同じように就職で全国に散った。
長期連休のたびに集まるようにしていたけれど、みんな仕事や結婚、出産でなかなか帰省できなくなって、集まる人数は一人、また一人と減り、しまいには「集まろう」という声すら聞かなくなった。
会社を辞めたとき、引っ越したこともあって、これまで気軽に会えていた同僚たちとは会えなくなった。
私は新しい環境で新しいことを始めたこともあり、心には余裕がなかった。ひたすら動き回る日々で、友人らと連絡を取り合う頻度はだんだんと減っていった。
これを私は「自分の場所(ステージ)が変わったから仕方のないことだ」と割り切ろうとした。
自分が変われば人間関係が変わるのは必然だ、と。
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少しも変わらないものなんて、この世にはない。
だけど、「大きくは変わらない」というものはあると思っていて。
たとえば「家族である」という繋がりは、時とともに自然消滅するなんてことはない。家族は、私がどこに住もうとどんな仕事をしていようと、ずっと家族であり続ける。
たとえば気心の知れた友人は、共通の話題がなくなってしまっても、よほどのトラブルや仲違いをしない限り、いくら疎遠になっても友人であり続ける。
少なくとも、私にとってはそうだ。
なかなか会えなくなっても、連絡を取り合う頻度が減っても、お互いの間に成り立つ関係性は変わらない。
人間関係って、そういうものじゃないのか。
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自分のいる場所だとか仕事だとか、そういったもので簡単に切れてしまうような関係は、きっとはじめから強く結ぶことができていなかったものだろう。
住む場所や仕事が変わったくらいで根本的な人間性は変わらない。それなのにその関係が終わってしまうようなら、そもそも情で結ばれた関係ではなく、条件によって引き合わせられただけの関係だったんだと思う。
お互いがお互いを思いやれる、情で結ばれた関係を築くことができたなら、そのときは「自分や相手の場所が変わったくらいで終わることはない」と、その関係に自信を持つことができるはずだ。
そして、できれば、私はそういう関係を結んでいきたいと願う。
もし自分が立ち止まって進めなくなっても、先に進んで待っていてくれるような。そして相手がずっと後ろのほうで悩んでいたら、その手を引いてあげられるところまで戻っていけるような。
そんな人間関係を築いていきたいし、今そういう関係にある人たちのことをずっと大切にしていきたいと思うのだ。
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