息子のなみだ
今年、高校3年生の息子。
大学受験に向けて、勉強を頑張っているが
今ひとつ本気が見えないなと感じていた。
ここらで喝を入れた方が良いかなと思って
「最近、少しだらけて見えるよ」と話したところ。
思いがけず、彼の心の内を知ることとなった。
私は息子を出産した後
寝ない子の育児に行き詰まり、産後うつになった。
朝が来るのが怖くなり、虚な目で日中を過ごした。
可愛い息子がわが家にやってきたというのに
夫婦仲は坂道を転げるように悪化していった。
そんなわけで、息子が物心ついた頃には
いがみ合う両親の姿ばかりを目にしていた。
別居もして、息子にはずいぶんと寂しい想いを
させた。
仲の悪い両親に挟まれて、一人っ子の息子は
心の奥に孤独感を見ないように見ないようにと
しまっていったそうだ。
「僕が成長して、この家を出たら、ママも
家を出ていくかも知れない。
そうしたら、家族がバラバラになってしまう。」
そんな不安を抱えて、将来の夢を描くことにも
消極的になっていったと
拭っても拭っても溢れてくる涙を止められずに
話してくれた。
反抗期がなくて助かるな、なんて呑気に
思ってきたけれど
反抗できるだけの信頼感を待てずにいたのだと
今更ながらに気づく。
子どもにとって、親の不仲がこんなにも
心を傷つけるものだとあらためて思い知った。
このタイミングで打ち明けてもらって
本当に良かった。
息子が巣立つまで、まだ時間はあるから。
息子が安心して、家から出ていけるように。
私ができることを
心を整えて、心からの笑顔で、
息子と、夫と、ワンコとの時間を過ごしたい。