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007に絡めて考える!『キングスマン3』が最高傑作な理由


2021年12月に公開された『キングスマン/ファースト・エージェント』。スタイリッシュなスパイが繰り広げるアクションやコメディな演出が人気であったシリーズの3作目である。個人的にはシリーズ史上最高傑作だと思うくらい好きだった。


しかし、

「これはキングスマンでする必要はないのでは?」

という感想が多かった。コメディ要素満載のスパイ×アクションだった過去2作から一転、シリアスな戦争×スパイ×アクションになってしまった。かつてのコミカルな演出などを期待して観に行くと肩透かし食らってしまうかもしれない。では何故、3作目が最高傑作だったと言えるのか?その理由を『007』、特に3代目ロジャー・ムーア=ボンドに絡めながら考えていく。

■『キングスマン』と『007』

ムーア時代の『007』は非常にコミカルなテイストだった。誇大妄想狂な悪の秘密結社が敵として出てきて、笑いを取りながらボンドは立ち向かっていく。美女とのベッドシーンも挟みながら…。しかし、次第にコミカルさは無くなっていく。そして6代目ダニエル・クレイグでは、コミカルさのカケラも残っていない。『キングスマン』シリーズの監督マシュー・ボーンはムーア世代の人間。このバカバカしいくらいの敵組織と、ユルい作風が好みだったことであろう。『キングスマン1』では「昔の007は敵が良かった。今はシリアスになりすぎだ」とある種の警鐘をキャラクターを借りて鳴らしている。かつてのコミカルさを求めてキングスマンを撮ったはずの彼が、何故シリアス路線に変更したのか。

■シリーズ1番の異色作


それは『007/ユア・アイズ・オンリー』の存在である。『私を愛したスパイ』『ムーンレイカー』とオチャラケ路線で笑いを取り続けていたムーア=ボンド。しかし別の映画が失敗に終わり、配給会社が厳しかった。そのため秘密兵器と笑いを捨てた、ハードなボンドに原点回帰した。シリーズの中でも異色作と言われているが、現在ではそれなりの評価も受けている。

■需要と供給と欲求

このことから、『007/ユア・アイズ・オンリー』の影響を受けて、『キングスマン/ファースト・エージェント』は意図的にシリアス路線になったと考えられる。ムーア世代の監督は満足だろうが、現代の映画ファンの需要を満たしているかと言われたら、微妙である。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』に向けて24作品全て見直し、背景を少し勉強したから気付けたし、007ファンだから熱くなった!マシュー・ボーンが好きだった時代の映画を今の映画ファンは求めていないのかもしれない。『007/ユア・アイズ・オンリー』が公開当時は評判が良くなかったが、後にしっかりと評価されるようになった。そのように『キングスマン/ファースト・エージェント』もいつかしっかりと評価される日が来ることを願っている。

『キングスマン/ファースト・エージェント』はDisney+にて、『007/ユア・アイズ・オンリー』はAmazonprime VideoとU-NEXTにて、配信中なので是非ご覧ください。

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