【007 "6-1"】00昇格のオリジンから描く『007/カジノロワイヤル』
「007って何?」という方は
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新たにダニエル・クレイグを主演に迎えて再始動した007シリーズ22作目『007/カジノロワイヤル』。最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』が何度も公開延期を余儀なくされ、未だに目処が立っていない。そんな007シリーズを応援すべく、シリーズを振り返っていく。
■007と私
私は2002年生まれ。つまり「007/ダイ・アナザー・ディ」と同い年。ピアース・ブロスナン引退と共に生まれ、幼稚園に入る前にダニエル・クレイグにバトンが渡されている。だから007には縁もゆかりもなかった。中学生の頃には「007/スカイフォール 」「007/スペクター」で盛り上がっていたがそんなことは知らなかった。高校3年生の春に新型コロナウイルスによる休校期間中に「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」延期のニュースを観て007のことをきちんと認識した。興味をそそられ、それにに向けて007を気分転換がてら観たらどハマりした。My 1st ボンドは何故か2作目の「慰めの報酬」。
しかし公開延期を繰り返して未だに公開日は未定。ダニエル・クレイグ最後の活躍を、初のリアルタイム007を劇場で早く観たい。その日が一日でも早く来ることを願っている。
■全てが好み
クリス・コーネルが歌う「You Know My Name」とトランプの絵柄のようなイラストのオープニングがカッコ良すぎてそこから観入ってしまった。しかもその後にパルクールアクションのチェイスシーン。工事現場はイチから建てたらしい。ダニエル・クレイグとエヴァ・グリーンだけでも満足だったのに、ヴィラン役にマッツ・ミケルセン。なんて豪華な。今回のマッツは良かった。金的拷問をボンドにするのだが、あのマッツは怖すぎる。
■未熟なスパイという新たなボンド像
物語は00エージェントに昇格したジェームズ・ボンドが初の殺人のことを話しながら汚職職員を始末する所から始まる。今作は初めてボンドのオリジンが描かれた。初めての殺しはトイレの洗面台に顔を押し付けて無残に。2度目は銃でスマートに。爆弾男を追跡中に大使館へ押し入り、爆弾男を射殺し大使館を爆破。カメラの不始末から軽く炎上。00エージェントになりたてということで、"未熟なスパイ"な感じが今までにはない魅力だろう。
■最恐ヴィラン、マッツ・ミケルセン
歴代007のヴィランはバカみたいな奴らが世界征服を狙っていた。しかし今作でボンドと戦うのはマッツ・ミケルセン。これがもの凄く怖い。血の涙を流すという設定が、彼のキャラクターの怖さを増している。ボンドの大切なところを集中砲火する金的拷問はトラウマレベル。
■ダニエル=ボンド初のボンドガール
ボンドはバハマで情報収集するためにカテリーナ・ムリーノとアバンチュールを。彼女はダニエル・クレイグ版007初の関係を持つ女性となる。バハマのビーチを白馬にまたがって駆け抜けるその姿は美しいとしか言いようがない。ダニエル=ボンドは人妻好きなのか…?確かに敵組織の奥様と関係を持つことも少なくなかったが、きちんと明言されたのは初めてではないだろうか。
■"妖艶"としか形容できないヴェスパー
今回のボンドガール、ヴェスパー・リンドーを演じたのはフランス人美女エヴァ・グリーン。「妖艶」という言葉はカノジョのためにあるのでは?と思ってしまうほど色っぽい。まだ全シリーズ観れているわけではないのだが、今のところMy Best ボンドガールだ。
カジノをする際のMI6経理担当としてボンドと行動を共にする。「独身だから…」と初めは興味を示さなかったものの、次第に惹かれあっていく。カクテルをヴェスパーと名付けたり、送金の暗証をヴェスパーで登録するなど愛を示す。
目の前で人を殺すところを目撃した彼女はひどく落ち込んでしまう。そんな弱さも魅力の一つ。そんな彼女、実は敵組織と繋がっていたのだが、お金と引き換えにボンドの命を助ける取引をMrホワイトと交わした。それは彼女が抱いていたボンドへの愛は本物だったと思わせてくれる。
今作で残念ながら亡くなってしまうのだが、次作のための布石をしっかり残してくれた。Mrホワイトのことは勿論、今回の失恋をボンドはずっと引きずっていく。これまでは「女王陛下の007」で奥さんを殺され復讐したことはあったが、基本的には1本で完結。特にシリーズ初期は出会った女性全員と関係を持つ勢いだったため、今の時代に合わせた女性観になっている。
■キル・カウント
007は殺しのライセンスを持っているため、任務中であれば人を殺すことが許可されている。ではどのくらいの人を殺してきたのか、数えてみた。
▷00(ダブル・オー)エージェントに昇格するために2人殺さなければならない。MI6の機密を売った局長をスマートに射殺。二度目の殺しは「ずっと楽だ」とボンドは言っている。
▷ MI6の機密を売った局長の相棒が、初めてのボンドにとって殺しになる。トイレで揉み合い、洗面台の水に顔を押し付ける。倒れるもまだ息はあり、銃を拾おうとしたところをボンドに撃たれる。この射殺シーンがガンバレルのオープニングに繋がる。
▷ナムブツ大使館に逃げ込んだ黒人の爆弾男を射殺。ボンドは逃走のため、施設を爆破。監視カメラにしっかりうつっており、新聞に載ってMは激怒する。
▷人体の世界店にて、ナイフを突き付けてきた武器の仲買商人ディミトリオスを刺殺。彼を殺したことで、情報を得るために寝かけた彼の妻が殺される。
▷空港にて、エプリシスが車の下に仕掛けた小型爆弾を、彼につけて爆殺。
▷カジノロワイヤルのポーカー休憩中、黒人2人の襲撃に遭い、1人を転落させる。もう1人は絞殺。
▷内通者だったヴェスパーが会っていた敵3人。1人は盾にして射殺される。2人目は電線を体に当て感電させる。『007/私を愛したスパイ』のジョーズとの戦いを彷彿とさせる。最後は自動釘打ち機から放たれた釘が目に刺さり、死亡。
今作でボンドが殺めた人は合計10人!
■次回作への布石
今作ではお約束の「ボンド、ジェームズ・ボンド」という自己紹介が最後の最後にあって幕を閉じる。ダニエル=ボンドは新しい試みをいくつもしてきたが、これがなかったら「ボンドではない!」と叱責を受けたことだろう。
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