【隠れた名作】早くも今年ベスト候補?!『ミアとホワイトライオン』
「ライオン」。この言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか?タテガミを持った百獣の王であるあの動物を思い浮かべた人がほとんどだと思う。しかしあと20年も経てば、そう答えられる人は激減するかもしれない。
■早くも今年ベスト級?!
画像引用元:映画『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』本編映像 ~ホワイトライオンとショッピング篇~
(https://www.youtube.com/watch?v=8-6XrRBuurA)
映画『ミアとホワイトライオン』ではライオンファームで生計を立てている家族が聖なる夜に贈り物を受け取るところから始まる。ホワイトライオンの赤ちゃんが生まれたのだ。小さかったミアはホワイトライオン・チャーリーをはじめこそ毛嫌いしていたが、一緒に過ごすにつれて友情が芽生えていくが…。
この映画は予告編も観ず情報ゼロで観に行った。ポスターの「CG無し」というフレーズと、デザインに惹かれた。ノーマークで期待値はそこまで高くなかったこともあり、観終わった後は衝撃と満足感でいっぱいだった。すごいものを見てしまった。しかも2021年記念すべき100本目の映画。すごい縁を感じる。
■CG無し!? 圧倒的迫力な映像
画像引用元:映画『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』予告編 2021年2月26日(金)公開
(https://www.youtube.com/watch?v=kHoYiac3VW0)
ホワイトライオンのチャーリーはこの映画の主人公といっても過言ではない。ライオンを撮影するとき、必要なところはCGやパペット、アニマトロニクスなど使うことが一般的だ。そのほうがより安全でより早く撮影することができる。サーカス団ではない撮影クルーがライオンを脚本通りに動かすのも骨が折れそうだ。ライオンがメインキャラクターならなおさら。しかし今作は「アラン・デュカス宮廷のレストラン」など多くのドキュメンタリー作品を手掛けたジル・ド・メストルが、動物研究科&保護活動家のケヴィン・リチャードソンとタッグを組み、メガホンを取った。主演のダニア・デ・ヴィラーズが週3回2時間ライオンと時間を過ごし、友情を築いていった。撮影終了後には「ライオンとの友情は存在すると確信している」と断言できるほどに。結果として3年もの時間をかけ、CGを使うことなく少女&ライオンの友情、南アフリカの大自然を圧巻の映像で映し出した。
■ライオン×少女 種を超えた友情
画像引用元:映画『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』予告編 2021年2月26日(金)公開
(https://www.youtube.com/watch?v=kHoYiac3VW0)
今作は少女ミアとホワイトライオンのチャーリーの関係が最大の見どころ。南アフリカに引っ越して大自然の中で生活するミア。そんな彼女は友達がたくさんいるわけでもなく、家族からも心配されるほどの孤独な少女だった。そんな中生まれたホワイトライオンのチャーリー。鬱陶しがっていたが、生活を共にするなかで友情が芽生えてくる。初めて親友という存在が出来たのかもしれない。
残酷なことにライオンは大人に成長すると、世話をしてもらったことなどは構わず襲いかかることがある。それで重症を負ったり、亡くなったりしたケースも少なくない。しかしチャーリーはミアを襲うことは無かった。それどころか戯れあっていた。チャーリーが大きくなったら家の外の檻に入れて世話をすることになった。檻の中でもミアはチャーリーと触れ合い、ずっとそばにいた。引っ掻き傷などが出来ることもあったが彼女は気にしていなかった。が、両親は猛獣だからという理由でミアをチャーリーから引き離そうとする。引き離された時、ミアが考えるのはチャーリーのことばかり。チャーリーも餌も食べず、攻撃されても反撃せず。人間とライオン。種は違えど友情のような固い絆で結ばれてる。それだけで劇場で涙腺が崩壊した。動物と人間の映画でよくあるお涙頂戴演出は無く、3年かけて築き上げた演技ではない本物の友情を観ることができる。
■南ア経済の実態「トロフィー・ハンティング」
画像引用元:2/26公開!映画『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』ジル・ド・メストル監督とケヴィン・リチャードソンが明かす、ライオンとのCGなしでの撮影の舞台裏!
(https://www.youtube.com/watch?v=eWbT2JzeuBE)
「トロフィー・ハンティング」、別名「缶詰狩り」。この言葉を聞いたことがあるだろうか。それは囲いの中でキリンやライオンなどの動物を狩る(殺す)ことだ。狩った動物は写真にとってSNS等に投稿したり、はく製などでコレクションされたりする。狩る動物はファームと呼ばれる動物を育てる施設から買われることが多いらしい。本来ファームはサーカスや動物園に動物を販売して生計を立てている。しかしファームの経営難等の理由から秘密裏にハンター売り、利益を得ていることも珍しくない。動物を保護するはずのファームが殺されるために動物を育てているのだ。驚くべきことにこれらは合法的に行われており、南アフリカの経済を回している。中にはティーンエイジャーのハンターもいる。多くのハンターたちが娯楽として動物を殺しているのだ。
今作の主人公のライオンを例にとってみよう。100年前、ライオンは100万頭も生息していた。しかし現在は9割も数が減少し2万頭ほどに。ホワイトライオンは300足らず。このままだと20年後にはライオンは絶滅してしまう。
日本では大きくは取り上げられない「トロフィー・ハンティング」。たとえ南アフリカの経済を回していたとしても、絶滅を防ぐためにも、生態系を壊さないためにも、動物を狩ることは今すぐにやめるべきだと思う。一人でも多くの人にこの悲しい現実を知ってほしい。
画像引用元:映画『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』本編映像 ~ホワイトライオンとショッピング篇~
(https://www.youtube.com/watch?v=8-6XrRBuurA)
この映画が一人でも多くの人に届き、ライオンの命が救われますように。こういう映画こそ分厚いパンフレットを制作し、世界に発信すべきだと思う。残念ながら製作されていないので、この記事をパンフレットにの代わりにしてもらえたらと思う。
■追記
2021年公開 新作映画 上半期ベストにダントツで1位!
皆さんの感想をコメント欄でシェアしてもらえたらと思います!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?