読書記録「かがみの孤城」

読書記録「かがみの孤城」作・辻村深月さん、ポプラ社

読み終わってから少し時間が経ってはいるが、感想を書き残しておこうと思う。

私はまずこの作品を子どもたちにこそ読んでほしいと思っている。彼らが読むと、何かしら思うことがあるのではないか。

※ここからはネタバレを含む内容
★あらすじ★
作品に登場する人物たちの多くは、何かしらの理由で中学校に通うことが難しい子どもたち。登場人物たちが持つ背景は様々なもので、いじめで学校に行けなくなった子や、なんとなく学校に行かなくなった子、家庭の事情で違う中学に通うことになった子が出てくる。学校に通っていない子たちが鏡の中にあるお城に「招待」されて、願いが叶う部屋と鍵を見つけるゲームに誘い込まれる。そのお城に出入りできるのは「日本時間午前9時から午後5時まで」。そのゲームは年度末の3月30日まで。
彼らはある出来事をきっかけに、自分たちがお互いを助け合える存在ではないかと考えるが、その願いは儚くも崩れ去り。3月末のある出来事が物語の構成と登場人物たちの発言の真意を明らかにしていく。

★感想★
「学校が自分たちの唯一の居場所」だと考えている登場人物(こころ)が、「かがみの孤城」に出入りすることで、学校以外にも自分の居場所があることを認識できたことが個人的にはよかったなと思った。ありきたりな言葉ではあるけれど、小学生から高校生は割と自分たちの居場所が「学校」にしかないと考えているのではないか。学校で人間関係に躓いてしまうと、どこにいっても自分はダメなんじゃないか、そんなふうに思ってしまうことがあるのではないか。
学校だけが居場所じゃないと考えることができたら、どれだけ気持ちが楽だっただろうか。自分自身のことを振り返りながら、そんなことを思って読んでいたので、人間関係や学校に悩んでいる子どもには勇気づけとなるのではないかと思う。

学校は友人を得られる場所ではあるけれど、閉鎖的で、「みんなと同じ」でないと排除されてしまうような場所でもあると思う。全ての学校を否定したいわけではないが、「同じであること」を求めるのではなく、「違うこと」をお互いに許容できるような場所であることを切に願うばかり。
まずは、自分自身が「違い」を許容できるようになりたいと思う。


いいなと思ったら応援しよう!