
15. 波紋をおこす
開館2年目を迎えた秋田市文化創造館のイベントの一つとして、大カタルバーを開催した。まだやるの?と言われながらも、懲りずに「スケボーと秋田のまち」をテーマに。
店主としての想いは、自分が語りたいというよりも、皆が一体どう考えているかを聞きたい。その一点につきる。
大カタルバーの当日は、夜も明けきらないうちに出張先・別府からの大移動。移動中、どうやってバーを回そうか考えようかと思ったが、溜まったメールやチャットの確認をしたり、出張報告をしたためたりするうちに秋田に着いてしまった。空港から文化創造館に向かう途中で昼ご飯をかきこみ、なんとか開始時間前に文化創造館に到着。
とりあえず用意してもらった模造紙と付箋に、これまでの経緯と現時点の悩みみたいなものをキーワードとして書き出して、5時間半の移動でこわばった体をストレッチしながら開店時間を待つ。
書き出したキーワード
「すべての人に場をひらく」
「許容」
「苦情」
「偏見」
「事故等のリスク」
「許可制」
「キックアウト」
「どうすればいい?」
13時20分から、1時間のセッションを2回。
どちらのセッションにおいても、集まった方からたくさんのインプットをいただいた。まるでわんこそばのように、次から次にインプットが注がれるために、咀嚼が追いつかない。


振返り、整理を試みると、2回のセッションの中でいただいたインプットには、大きく2つの種類があるのではないか。
1つ目は、利用者として、または関係者(関係の深度はさまざま)の視点からみた文化創造館の役割や機能の認識について。2つ目は、その役割や機能を発揮・維持するためにやった方が良いことのアイデアや事例について。
文化創造館の役割・機能
これは「中の人」である私にとって、利用者や関係者が文化創造館をどう認識しているかを知ることのできる、非常に興味深いインプットだった。
波紋をおこす場
議論をつづける場
広場または原っぱ(vs 公園またはパーク)
寛容性を高める場
自立し、自治する力を獲得する場
寛容性を高めるために、カテゴライズできないもの(既存の価値観やこれまでの”常識”に収まらないもの)への向き合い方を学ぶことや、他者のことを考える想像力を育むこと、異なる世代や属性間の横のつながりや出会いをつくることができる場という意見をいただいた。
役割や機能を発揮・維持するためにやった方が良いこと
こちらも、この先いったいどうすればよいのか思案しつづけている私(たち)にとっては、有益なインプットであった。
カオスや多様性を容認するためのマネジメントを機能させること
スタッフが議論や交渉をファシリテーションすること
理論武装や街に対する明確なステイトメント、仕組み化も必要
当事者でない人も共感し、巻き込むような成功体験をつくること
柔軟で更新可能なルールメイキングをすること
なかでも背中を押されたのが、「文化創造館は波紋をおこす場」であるという、地元の方の言葉。
私たちからの問いかけで、波紋がおこり、それを受け取った人たちが思考し、アクションをおこすきっかけをつくれないか、と常々考えてはいた。しかし、これまでの状況をみると、高飛び込みの大会でメダル争いを繰り広げるくらい、波紋はほとんど起こっていない実感があったのも事実である。
大カタルバーで得たインプットを振り返り、整理しつつも、そんなことを考えていたところ、おこした波紋への応答(らしきもの)が届きはじめた。